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「いやじゃないけど」
「じゃあ決定ね!お昼に体育館でね」ピースサインをしてから川嶋さんは自分の席へと戻っていった。
川嶋さんってさ、少々強引だったりするけど、なんでだかさ全然腹が立たねーんだよな。やっぱあれだな、同じようなセリフでも誰が言うかで違ってくるんだろ。
それにしても学校で、教室意外のとこでご飯食うのって初めてかも。いや、売店でも食ったりするけどな。売店ってさ、早くいかねーとパンとか売り切れちゃうしさ、それに狭いから席もなくなるの早いんだよな。
俺はお昼川嶋さんと食べると言うことに頭がいっぱいになり、授業どころではなかった。
といってもまぁ、普段からそんなに真面目に聞いてはないんだけど。
いや、勉強なんてものはポイントだけしっかり押さえておきさえすれば、絶対なんとかなるんだから。と、優等生発言をしてみる。(え?どこがだって?なぬー?)
4時限目が無事に終わり俺は、すぐに椅子から飛び降りてしまっては、楽しみにしている感、丸出しなので、なるべくゆっくりとスローペースで行動しするように気を付けた。
このクラス一番帰り支度が早いとクマ公は俺の事を見て言うんだが、今の俺この瞬間に限り俺は、このクラスで一番行動が遅いな。
おい、だからと言って今川嶋さんの方を見るなよ?いいか?俺!もし川嶋さんと目でもあったりなんかした時は、俺がお昼一緒に食べる事を楽しみにしてるんだと思われてしまうじゃーないか。
それはいかんのだ。
なぜなら、俺はいつもクールなクールボーイでいたいんだ。そうだ、この俺の名誉を投げ捨てるわけにはいかーん。(名誉?んなもん初めからないだろ?オイオイオイ、それを言ってしまったら俺は撃沈だ!)
腕時計で5分過ぎるのを心の中でカウントダウンしてから、教科書類を机に入れて、教室を出た。
走って飛んで行きたいほどの気持ちを抑えつつ、速足で10歩進んでは2歩下がりを何度か繰り返して体育館へと向かった。
「関谷くーん」川嶋さんが体育館の前の数段の階段の上に座り俺に向かって百万ドルの笑顔満天で手を振っている。
か、かかかかかかわえ―――。
俺の口元がモフモフする。
「やぁどうも」俺は照れくさそうにして川嶋さんの隣に少し間を空けて座る。
「も~関谷君遅いよ~」
「ごめん」こっくりと首を下げながら謝る俺。
「まぁいいけどさー。でね、今日はね、実は、実は、ジャ、ジャーン」そう言って川嶋さんは鞄の中からお弁当を俺の前に差し出した。
「え?」
「あのさ、最近、ママにお料理習ってるの、それでね関谷君いつもパンかコンビニ弁当とかだから、どうかなー?と思って作ってみたんだけど。でね、そのパンは私が代わりに頂いちゃってもいいかな?」
え?え?おーい、そこの皆聞いた?
聞いた?聞いてくれてた?これって愛妻弁当ならぬ愛女弁当ってことだよな?
な?な?




