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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 進展
47/149

14

こんなオカンの顔を見るのは正直辛かった。オトンは一度は帰国したもののまた出張に行ってしまった。


 オトンがいれば、オカンも少しは安心するだろうに。

 クソッ―――。


「オカン、ポストにつけたやつ外すよ?」

「せっかく着けてもらったのにごめんなさいね」


「いや、オカンが悪いわけじゃねーから」


 俺は洋服に着替えて、工具セットかドライバーを出して外に出る。寒っ。最近は温暖化のせいかいつまでも秋の様な気候だったがこの数日の間にぐっと冷え込むようになった。特に朝晩は寒さが増す。

 かじかんだ手に息を吹きかけ、俺はビスを回す。グリグリ―――と。

 しかし、ビスは全くと言って動かない。その後も回すがこのまま無理にやる続けると今にもネジ穴が潰れそうだ。


 これは、いかんな。

 俺は、作業を一旦中止して、バイト先が開く時間を待って、店長にもう一度電動ドリルを貸して欲しいと頼み込み、なんとか貸してもらい家に帰ってからすぐに、ビスを外した。

 コンクリ部分に穴が開いてしまったが、それは仕方ない。そこまで目立つ……けど、まぁ仕方があるまい。


 それを見たオカンは「うわーすごい穴が4つ……ね」といったまま言葉を失っていた。そんなオカンをみて「どうしてくれんのよー亮介―」と、そう言ってもらった方が幾分もマシだったのに、と思ったがそれは口にしなかった。


 それから一週間後、左隣の田辺さんとB団地の宮澤さんと、相次いで交通事故にあったり、また自殺と言う形で亡くなってしまった。


 お隣の宮澤さんの家から、家族が泣きわめく声が窓越しに聞こえてくる。 この前までお元気そうに花の水やりをしていたのに。


 俺の胸まで苦しくなる。交通事故に巻き込まれるなんて、こんなタイミングでなくなるのだろうか?やはり、ハンカチの犯人が――?


「関谷君、ねぇ関谷君てば――?」

 その声にハッとする。

「……」

「怖い顔しちゃって何かあったの?」川嶋さんが心配そうに俺の顔をマジマジと覗く。

「いや、別になにも……」

「ほんとに?ところでさ、関谷君今日お弁当持ってきた?」

「弁当?いや俺今日パンだけど」

「そうなんだ?!じゃあ今日一緒にお昼体育館の前で食べない?」

「え?昼を?」

「あれ?もしかして嫌だった?」


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