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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第一章 始業
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「あっ、それ俺がお香焚いたからだろ」

「お香?亮介、火の後始末だけはしっかりしなさいよ」


「分かってるって」

「亮介が焚いてたやつチャンダンでしょ」

「うん姉ちゃんよく分かったな」

「やっぱりね!友達でお香好きな子いるんだよね。とりま、千絵はもう一回風呂でも入りますか」


「ねーちゃんそんなに風呂入っても変わんねーって」

「あん?なんだって?はー亮介もう一回いってみ?」

しまったぁ。俺は油断するとすぐに余計な一言が口から洩れてしまう。


「俺、用事思い出した、外出てくるわ」

 俺はそういうと、逃げるようにして玄関まで行き外に出る。

 まいったな、どうしようか。その前にポスト。

 よかった、なにも入っていない。


 安心した俺は、朝行きそびれたゲームショップに行くことにした。ゲームショップにつくと、川嶋さんの姿は既になくそれを一番に確認してから、面白いゲームがないか真剣に探し、2本ほど気にいったのを買い家へと急ぐ。


ぐにゅっー。


 俺は変な感触を感じて停まってみてみると、犬の糞が俺の自転車のタイヤにベッタリとついていた。


 うっわーマジ最悪、マジ最悪……。


 この日の夕方俺は、自転車のタイヤを自宅前でジャージャー洗ったのは言うまでもない。


 翌朝、俺は夢を見ていた。


「関谷くん、好~き、だ~いすき」

「俺もだよ」ぶっちゅうぅぅうん



 そうやって目が覚めた時には俺は、タコの口をしたまま起き上がり、起こしにきてくれていた姉貴はめちゃくちゃ大笑いしていたのだった……。

 なんだよ、そんなに笑いやがって。

 そして、朝食を食べた時に気が付いてしまったんだよ。俺、俺は……川嶋さん返事をしていなかったことを。ガチョーン

 まぁ仕方ないよな、と頑張って開き直ってみる。


 急いでメール画面を開く。よかった、あれから何も来ていない。「本文 お香ありがとう」とだけ打って学校に向かった。


「関谷君おはよう」教室に入った途端、川嶋さんが俺のことまでやってきた。

「おはよう、昨日はありがとう、返事遅くなってごめん」

「いいのいいの、私あれからずっとゲームやってたし。で、お香使ってみてくれた?」

「あ~うんチャンダンだっけ?あれを」川島さんが怒っていないことに一安心する。そして、つい顔が緩む。

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