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川嶋さんは俺の方を見るなり、
「ねぇ今のどういう事?中華料理を美人な人と食べたってその美人さんは誰の事?私関谷君と中華料理なんて食べた覚えないけど?」と物凄い怒った様な顔をして言う。
「それはその……つまり…」
「国神さんと行ったんでしょう?」
何故分かる?俺の心臓は悪い事をしてしまったのが見つかってしまった時の様にヒヤヒヤして焦っている。
「いや、それが、その……付き合いっていうかさ……」
「やっぱり国神さんと行ったのね!酷い、さっきのは聞かなかったことにする」
そう言って川嶋さんはさっさと自転車に乗るなり、坂道を下っていった。
「誤解なんだ」俺は川嶋さんの後ろから一生懸命に弁解をする。
しかし、川嶋さんは目も合わせてくれず黙り込んだままで、結局家の前まで、その態度が明るくなっていつもの川嶋さんになる、と言う様なことはなかった。
家に帰り、泣きたくなってしまう俺……。
それから当分川嶋さんは口を聞いてはくれなかった。
二学期が始まり毎日毎日俺は隣のクラスの川嶋さんの所まで足を運び、「ごめんね」とか、「美味しい物おごるから」とか「何かプレゼントするから」とかそんな事を繰り返し数週間後に漸く許してもらえることになった。
あれから黄色いハンカチも届くような事はない。
今度こそ、平和な日々が俺を待っている。
しかし、忘れた頃に鬼はやってくる。
そう、今日のポストの中には青色のハンカチが入っていた。
――2完――
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