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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 上進
147/149

31

 その両親を殺害したとして、指紋の一致や目撃情報から鼻島要が逮捕されてしまったのだ。

 そう黄色いハンカチの犯人こそが彼だったのだ。


 今回小型カメラが無い代わりに、数百万にものぼる大金を使い人を雇い24時間監視をさせていたらしい。3時間交代で実に500人以上に働かせたという。


 もっとも一番心を痛めていたのは姉貴だった。


「実は千絵、気が付いていたのよね……」

 逮捕から数日後姉貴が俺の部屋に来てポツリとそう言った。


「……」何を言っても傷つけてしまいそうなので、俺は何も言わなかった。

「あの人の家の一部屋には鍵が取り付けてあってそこには、鍵がないと入れないようになっていたのよ」

「……」

「でもね、ある日その部屋が開いていて、そこにはパソコンが置かれていて……見ちゃいけないって分かってても、どうしても気になってみてしまったのよ。そこには映像があった。亮介が家から出てくる画像だった。私もう驚いてしまって。私がその部屋に入ってしまった事がバレては困るから本当に一瞬の出来事だったけど、私が亮介を他の人だと思うはずがないし。もう17年も姉やっているんだから。それにちょくちょく誰かと電話していたし。イヤホンつけて車運転していたり。それは全部黄色いハンカチの情報だったんだと思う」


 いつも強気で性格の悪い姉貴が、今は何故か透明に見えて、その薄暗い影まで消えてしまったらいなくなってしまうんじゃないかと心配になった。


「鼻島さん意識不明なんだろ?治るといいな」俺がそういうと、憔悴しきった姉貴は「そうね」とだけ言って自分の部屋へと戻って行った。


 そして夏休みの最終日。

 俺は川嶋さんをデートに誘った。

 俺はガクトさんが「男から行かないと」と言った言葉が胸に響き、今日こそははっきりさせようと決意していたのだ。


 黄色いハンカチが終ったことは勿論伝えている。

 いつものように本屋の前で合うなり、ポエムへと向かった。

「私ナポリタンにするわ」

「随分お気に召したようで」


「うん、ナポリタンってうちの家ではあまり出ないから。でも関谷君だってオムライスなんでしょう?」


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