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その時チャラチャチャラチャン~♪と着信が鳴った。
おお以心伝心か?!
川嶋さーん!
ウキウキで携帯の画面を見ると、そこに表示されていたのは「オトン」の文字だった。
なんだよ、オトンかよ。
「もしもし」かなりテンション低めで電話に出た。
「おぉ亮介、元気だったか?お母さんは?」そんな俺の気持ちも露知らずオトンの声にはハリがある。
「オカンなら今買い物にいってるけど?」
「そうか、今新幹線口まで帰ってきた。迎えにきてくれ」
「は?迎えにってどうやって?」
「バイクの免許取ってバイク乗り回してるってお母さんから聞いたぞ?」
「いや、それはそうだし、オトンには本当に感謝はしているんだけど、残念ながら、申し訳ないんだけど、二人乗りは一年経ってからじゃないと駄目なんだよ」
「なに?そうなのか。じゃあ千絵は?」
「姉貴も出かけていないよ」
「なんだ、いないのか。まぁ今からタクシーで帰る事にするからお母さんが返ってきたらそう言っておいてくれ」
久しぶりにオトンと電話で話したが、川嶋さんでなくてがっかりはしたが、」まあオトンが元気そうで良かったじゃあないか。ふむふむ。
自分を自分で励ます俺。
しかし、電話を来た後すぐに買い物からオカンが帰って来て、「亮介~運んでちょうだい」とそう言った。
さてはオカン迎えに行くのに運転するのがいやでタイミング計ったな?とかそんなどうでもいいことを思っていた。
「オカン今オトンから電話があったよ、今からタクシーで帰るんだとさ」
「あらそうなの」
「っていうかオカンそれにしたってこんなに買い込んで、買い過ぎじゃね?」
段ボールに詰められた野菜や肉に味噌、ビール1ケースに洋服に布団と薬局の袋まである。
「だって久しぶりに帰ってくるんだから日本食がたべたいでしょうし、まぁいいじゃないの台所の前までお願いね」
オカンが買い込んだ食材を台所までえっちらおっちらと運びオトンの帰りを待った。
40分後、オトンがものすごい荷物を抱えて帰って来た。
「ただいま。おう亮介か!帰ったぞ、久しぶりだな」
「オトンその荷物抱えてバイクの後ろに乗ろうと思ってたのかよ」
「いや、そこまで考えてなかった」
だろーな。
「お帰りなさいあなた」オカンは物すんごい嬉しそうな顔をしてオトンを出迎えた。
「変わりはないか?」オトンも嬉しそうにしながらそう言った。
「えぇ。みんな元気よ」
「そうか」




