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ガクトさんにそう言われると迫力があり、その場の雰囲気に流されるようにして、「はい」と言って車に乗せてもらうことにした。
「君がこの車に乗ってるって知ったら、千絵は驚くだろうね」ガクトさんはそう言ってフフッと笑った。
その顔は男である俺から見てもカッコいいと感じてしまう。
「はい多分少し焦ると思います」何となく緊張感。なんだこれ、じわじわくる。
「焦るの?ところでさっきの子は名前しかいってなかったけど、彼女?」
「いや~彼女かどうかはまだ」
「そうなんだ。でも告白位はしたんだろ?」
「いえ」まだ、じわじわくる。
「亮介君、好きなら男からガンガン攻めないとあんなに素敵な子すぐに他の人にとられるよ」
「……まぁそうなんですけど」うわーこういう俺の苦手な分野でこういう風に責められると、上手く返すことが出来ない。だれか~マニュアル早く~。
「千絵は家ではどんな感じで過ごしてるの?」
……う~ん、困った。こういう時なんて答えたらいいんだろう?本性を打ち明けてもいいもなのか?家では鬼で上から目線で性格悪くてってそうやって言っていいのか?しかし、しかしだよ?
もしそんな事を伝えて二人が別れたりしたら俺のせいになるじゃないか。そんな恐ろしい事、やっぱり俺には出来ない。
「そうですね……お風呂入ってます」
「確かに、千絵っていつも風呂入ってるイメージあるね」
「はい追い焚きしないと、俺が入る頃には温くてですね」
「はは、そうなんだ長い時間入ってるんだ、亮介君もタコ入道の様にならないよいにしないとな」
「そうなんっすよ、ダイエットとか言ってますけど、夜中にポテトチップスとか食ってたりするんでそんなに効果はありませんけどね」あれ?おかしい言葉がどんどん湧き出てくるように出てくるんだが。なんだ?意外と気さくな人じゃねえか。
「そうなんだポテトチップスを夜中に?」
「そうなんスよ~そんでその後にシュークリーム食ってみたりとか俺にはよく分からんスよ」
そんな話をしているうちにあっという間に家についた。
路肩に車を停めて二人で家まで歩き「ただいま」と玄関を開けて中に入った。
ガクトさんがいるのでポストを確認することはしないでおくことにした。
「オカ~ンお客さんだよ」
「はいは~い、お帰り~」と言って菜箸を持ったオカンが玄関まで出迎えにやってきた。
「あら、鼻島さんじゃない?二人一緒で。千絵~」




