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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 上進
138/149

22

 そして川嶋さんは、自転車をその辺に停めてから二人でコンビニに向かい俺はトイレでジャージに着替えて帽子をしっかりと深く被りC町へと向かった。


「行こう」そう言って川嶋さんが俺の手を繋いでくるものだから、もう俺はその時点で有頂天で、カメラ探しどころじゃ正直なくなっていた。

 川嶋さんの柔らかい手が俺の手と交わっている。なんだかいやらしい表現になってしまったが、この幸せな感じ、最高だ。

 そして並木通りをゆっくりあるいてC町へと向かった。


 そして、ゴミ屋敷は後回しにすることにしていつも路上駐車してある羽馬さんのお宅から調べることにした。


 家の前に立ち外壁にそれっぽい物がないかなどと探していく。しかし、特にありそうでもないので最後にモールでもらっておいた紙を入れながらポストを覗いてみたが見つけることは出来なかった。

 そんな感じで隣の家、そのまた隣の家へと調べて回った。


 しかし、一番奥の金持ち二軒のカメラについては川嶋さんですら(いやみんなきっと誰だってそう)探すのを躊躇った為そこは調べるのを止めることにした。


 そしてビルみたいな一戸建ての夢路さんのポストを開けた瞬間に、玄関の扉が開く音と同時に「何やってるの?」とおばさんが出てきて怒鳴られた。


「すみません、このチラシを入れさせてもらおうと思ったんです」そう言って川嶋さんはそのおばさんにハイと言って手渡した。

「……」

「すみません突然。モール内の広告と、あと和食屋の割引券なんですけど今丁度キャンペーンで千円割引になりますので、もしよろしかったらどうぞ」そういって川嶋さんは割引券も手渡した。


「まぁここの和食美味しいのよね。千円も割引なんてお得だわ。アルバイトしてるの?気をつけなさいね、いいわねうち息子もひきこもりさえなおってくれたらね。ハァ~。まぁどうもね」

 そう言っておばさんは、家の中へと入っていった。


 そして歩きながら俺は小声で「千円割引なんていつの間に?」と尋ねた。

「こんな事もあろうかと一応ね」そう言ってウインクをした。

「でもいいの?親戚の人の所だろ?」


「うん、好きにあげて良いってもらってるし、それに宣伝にもなるからさ」

 川嶋さんがいなかったらどうなっていた事やらと思いながら、今度は俺の方から川嶋さんの手をギュッと握った。デレン


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