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「え?なんで?なんで関谷君の家だけなの?なんか意味があるのかな?」
「さぁ、それは分からない。オカンは新築だからとか言ってたけど、そうじゃないと思うし分からない」
「そっか。それで犯人は分かってるの?」
「いいやまだ、この人が怪しいって人もいないしさ」
「でも、C町とか結構人通り多くない?何もない所だけど」
「まぁ、でも確かに夜景は綺麗だったりするから、ウォーキングがてら行く人は多いと思うけど。坂道だけど、上がりきった所にはベンツが三台停まっている家もあるしね」
「そうなんだ。でもそれなら聞き込みすれば何か分かるんじゃない?」俺は三秒考えてから「でも、その中に犯人がいたら何されるか分からないし、どうだろうか」と言った。
「まぁね私達まだ学生だし難しいかなぁ、うーん。あっカメラは探したの?」
「うんでも、俺の家の所には見つからなかった。かなり細かく調べたけど見つけることは出来なかった」
「他の家は見てみた?」
「ううん、まだ見てみてない。なんかあそこ自分の団地じゃないからか、よそ者的な感じがしてなんか見て回りにくいっていうかさ。誰かと一緒にならまたあれだけど」
「私がいるじゃない」川嶋さんは右手人差し指を自分の顔の方に向けてそう言った。
「なるほど、そういう手があったか。いや、でも川嶋さんを危険な目に合わせられないよ」
「なによー大丈夫よ。二人で行くんだから、それともなに?!私じゃなくて国神さんとだったら行けるとかそういうわけ?」そう言って口をすぼめている。
「いやいや、そうじゃなくてさ。なんでそうなるかな」妙に焦る俺。
姫君の機嫌を損ねてはならぬ!そんな声がどこからか聞こえてきそうだ。
「じゃあ決まり、別に変装していけば大丈夫よ。カップルがウォーキングしながら夜景をみるって設定で行きましょう」
「……はい」
川嶋さんなんか楽しんでないか?もしかして、警察に向いているのは川嶋さんの方だったりして?それじゃあ俺が教師?それで二人は結婚して……
まぁ、一緒になれたらなんだっていいよな。デレン。
その後、店内を回りながら変装グッズなるものを買って、18時半になるのを待つのはあっという間だった。川嶋さんといると時間が一瞬で過ぎ去ってゆくのは何故だろうか?
そしてモール内の広告をわずかながら頂いて、(いや結構多めに、モールさんすみません)C町へと向かった。
川嶋さんは自転車なので、俺は先に帰りバイクを置いて、着替えを手に持って並木通りまで歩いて行った。




