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「まぁ好きな人の前ではいいところ見せたくなるよね、わからなくもないなお姉さんの気持ち」
「へ?」川嶋さんも俺のいない所では別人だったりするのだろうか、とすこしドキリとした。
「で、どんな人だったの?」
「ガクトさんの事?」
「ガクトさんって彼氏さん?」
「そう、ガクトにそっくりで超イケメンでさ。どこで捕まえたんだか知らないけど姉貴が魔女だって知ったらきっと逃げ出すだろうけどさ」そういってプッと笑った。
「関谷君ってさ、毎回お姉さんの事悪く言うよね?お姉さん可哀相。でも仲良いんでしょう?でも家に来たって事は結婚前提とかかな?いいな~羨ましい」川嶋さんは両肘を机の上に置きそして両手を指を交差するようにして握り、目をキラキラと輝かせている。
「いや仲良くはないから別に。結婚って言ってもまだ大学生だし、さすがにそれはない気がするけど。あんなのと結婚したら一生尻に敷かれて苦労するって」
「私どんなお姉さんなのか見てみたい、関谷君と顔似てるの?」
「いや似てないと思う。俺はオカンに似てるってよく言われる」
「そうなんだ、じゃあお姉さんはお父さん似?」
「どうだろ?多分そうかな」
「ねぇ写メとかないの?ツイッターやってたりとかさ」
「あー知らない、俺そういうのやらない主義だから」
「そうよね、私もそういうの苦手な方だからさ。なんか面倒っていうかさ」
そうそう、面倒なんだよな。川嶋さんってそういうところ妙に男っぽいっていうかさ、でもこういう所が俺には調度良いんだよな。
「お待たせいたしました」先にナポリタンが運ばれ、そのすぐ後ににオムライスも運ばれてきた。
「関谷君ってオムライス本当に好きだよね」そういいながらスプーンを取り手渡してくれた。こういうことがさり気無くできるところが、いいんだよな。
「サンキュー。うん、なんかここにくるとオムライスが食いたくなるんだよな」
「まぁ分かる気もする。ねぇ、そう言えばさ親戚の家に行くときにさ喧嘩している姿よく見ない?ガラの悪い人が怒鳴ってたりするんだけど見ない?」
ポエムに今入ってきた来たいかにも性質の悪そうな人を見ながら思い出したのだろう。




