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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 上進
133/149

17

「もう亮介何言ってるの、無理しなくていいから食べましょうね」そういう姉貴の作り笑顔が怖い。これは、あとから10倍だな。


「要君、千絵ワガママでしょう?ごめんなさいね。あっ公務員なんですってね、素敵だわ~」オカンの機嫌は何故か頗る良い。


「千絵さんはとても気の利く女性で僕には勿体ない位です」ガクトさんはそう言った。」


 それを聞いた姉貴はうっとりとして顔を赤らめている。

 なんだこの気持ちの悪い姉貴の姿はよ~。


 しかしこの魔女を好きになってくれるような人が現れるなんてな。それもガクトに似ているイケメンが。イケメン風じゃないんだぞ?

 正真正銘のイケメンだぞ。まぁ本物のガクト様には敵わないが。


 いや~しかし、実に気まずい。考えれば考える程に気まずいよな。

 こういう時は一体どうすればいいんだ?昨日俺はこの人の家のポストに黄色いハンカチを入れたわけで…考えれば考える程になんか気まずいな。


 さっさと食べて部屋に逃げよう。逃げるが勝ちさ!


 俺は黙々と食べ進めてマイルームへと逃げた。いや~自分だけの部屋があってよかった。


 姉貴と二人一緒の部屋だったら、三人で一つの部屋にいることになったりしたらそれこそ気まずいもんな。

 昨日はサングラス掛けていたがサングラスをとると、ますますガクトにそっくりじゃないか。あれでカラコン入れたら完璧だろう。

 あれだけイケメンなうえに公務員ともなればモテるだろうな。姉貴やっぱり遊ばれてんじゃない?


 まぁもし姉貴が遊ばれていたとしても俺はガクトさんを恨まんよ。だって先に魔女だと言わずに可愛らしい自分を演じて騙したのは姉貴なんだから。


 いや、いつまで続くか知らんけどさ。


 ただあれだよな。黄色いハンカチ繋がりの所が気になるよな。さっきあの人そんな事一言も口にしなかったし。


 でもまぁ、俺が先にあそこに入れたわけだから、どちらが悪いかと問われれば俺だろうし、それにガクトさん姉貴にそんな事を話したところで、コテンパンにして俺がやられるだけだろう。


 それにしても姉貴にあんなにイケメンな彼氏がいることが不思議で不思議で仕方がなかった。

 

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