13
「店長さんと仲がよさそうじゃん?」
「JK1から働いているし、昔からここに来てたから。中華料理っていったら家族でこの店だったし、今だってそれは変わらない。この店にポイントカードがあったら物凄い数たまっていると思う」
俺は天津飯をスプーンで持ち上げて口の中へ運んだ。トロミがガッツリとついた餡、そしてふわふわな卵で包まれたごはんからほのかにバターの風味が感じられる。
「ふんま!」口の中に入れたまま話すものだから、きちんとした言葉になっていなかったがそれでも国神さんは分かってくれたようで、
「でしょ、ここの天津飯食べたら他の所で食べられないって言った意味分かる感じでしょ?」と言った。
「おまちどう、餃子ね。これはサービスだって匡子ちゃん!店長から」
「マジで?嬉しい。あとでお礼言わないと」
ウェイターが持ってきた餃子とサービスだという杏仁豆腐を国神さんが俺の前へと右手で運んでくれた。
「なんか申し訳ないな、気を遣わせてしまっているようでさ」
天津飯を食べ終え餃子もつつきながら、予定通りラーメンを注文したら、「良く食べるね~関谷君、本当に注文するなんてビックリ」と、そう言われた。
そうか?そんなに驚くほどの事でもないよな?俺の身体は発展途上国なのだから。
そして完食して店を出ると国神さんも俺に続いて外へと出て、バイクの所へと向かった。
「うわードラッグスターめちゃめちゃかっこいいじゃん」と国神さんが余りにも誉めたてるものだから、つい嬉しくなってしまう。
ドラッグスターが誉められるという事は俺が誉められることと同じようなものなのさ!フッ!
「今日はありがとうね、今日はもうお遅いから無理だけど、今度ツーリングできたらいいね」そう言って店を後にしてそれぞれ自分の家へと暗闇の中帰っていった。
並木通りを通り過ぎC町に差し掛かったところ、ゴミ屋敷近くで殴り合いの喧嘩をしている。「うぉおおおおお」という声がバイクを乗っていても聞こえてくる。
さすがにその声の大きさがきになってか、周辺の家の人は窓から覗いたりするのが見える。
しかし、バイクを停めてその喧嘩を見入るわけにもいかず、そのまま見て見ぬふりをして家へと帰り、ポストを開く。
そこには電気料金の紙があるだけで黄色いハンカチはなく、そのハガキを持って家に入りオカンに渡した。
「お帰り~お風呂追い焚きして入ってね」
「はいこれポストに入ってた」そう言ってオカンに手渡す。
オカンは居間に向かいながらその紙を見た。
「なにこれー」
「どうしたオカン!?」
「今月の電気料金が二万円って、なんでこんなにくるのよ、亮介あんたでしょう?」
「知らないよ。まぁエアコンはつけてるけど……」




