11
「関谷君、バイク買ったんでしょ?乗り心地はどう?」国神さんが聞いてくる。
「マジで最高」
「毎日乗ってる?そーいえばバイトガッツリ始めてるからさ食べにおいでよ~」
「そ~いえば天津飯食いたいよな」
「マジ美味いからね、うちの店。今晩でもどう?」
「あ、いいね~じゃあバイト終わってから行くわ」
「バイト終わるの何時くらいになりそう?」
「今日は19時に終わるから、20時には行ける感じかな」
「りょうのかいか~い」
天津飯とか食べるの久しぶりな気がする。オカンでも連れて行くか?でもオカンと二人で行ったらビックリするよな。そう言えば、天津飯と中華丼ってどう違うんだっけ?
なるほど、卵が掛けてあるのが天津飯で、中華丼は野菜が掛けてあるやつな。やっぱここは天津飯だろ。中華丼は野菜ばっかな感じだし。
家に帰り、カバンを置いて、バイクに跨るカッコイイ、俺様(ん?勘違い男だって?)
しかし、思い出したさ。バイクから下りてオカンを呼ぶ。
外から呼んだら目立ちすぎるので、中に入り「オカ~ン」と言うと「なに~」とエプロンで濡れた手を拭きながらオカンが玄関までやってきた。
「今日ご飯いらないから言っとこうと思って」
「あら、なんでよ?」
「学校の友達がバイトしているところに食いにいくから」
「まぁ、何を食べるのよ」
「天津飯と餃子と後ラーメンも食うつもり」
「それはいくらなんでも食べ過ぎじゃない?いいわねぇお母さんも連れてってよ」
「オカン運転して迎えに来て連れてってよ」
「あ~やっぱり遠慮しておくわね駐車場が狭いと無理だもの」
「そう言うだろうと思ってたよ、まっ行ってくるわ」
「気をつけて行きなさいよ」
今度こそバイクに跨りエンジンを掛けて出発する。マフラーの音がカッコイイ。いや、ダラッグスターを運転する俺様がイケメン風でカッコイイ。
イケメンじゃなくてイケメン風っていうところが誠実だろう?笑
そしてバイト先に向かい二時間仕事をする。暑い真夏になりそうなだけあって扇風機の需要が高い。
売れ行き絶好調で扇風機をお客さんの車まで運ぶ事も増えてきた。




