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家に帰ると、汗がダラダラと落ちてきて、服で汗を拭いそして姉貴が帰って来ているかを確認した。
しかしまだ姉貴は帰っていない様だった。オカンはすでに寝室に行っていて居間には俺一人だった。
ご飯を温め直し風呂に入り姉貴を待ったが帰ってくる気配はない。そして俺はそのままそこで眠ってしまっていた。
気が付くと朝の5時で、オカンはまだ起きていなかった。が、その時玄関のドアがガチャリと開く音がした。
「姉ちゃん?」
飛び起きて玄関まで行く。
「あんたもう起きてたの?」姉貴はいつもの様に性格の悪そうな感じでそう言った。
「起きてたの?じゃないだろう?昨日は電話の途中で切ったりして何やってんだよ、心配になって家に帰ってもいないし、携帯をブーツの中に入れてるし」
「そーだっけ?そういえば。私あんたと電話して……たわね。ごめんちょっと彼氏が来ちゃっててさー」
「……」
「ふふふー」
この人は何を言ってんだ?彼氏?過労死の間違いだろ?
「ハイハイ姉ちゃん、寂しい気持ちは分かるけど、別に姉貴が女友達と遊んでいて朝帰りなんて、そんなことなんとも思わないから、同情するなんてことはさ、しないでいてあげるから、そんな自分がみじめになる嘘なんてつくなよ」
「は?なんですって?だれがみじめなのよ。みじめなのはあんたでしょう?っていうかシーッ、声が大きい。お母さん私の事なんか言ってた?」
「友達と遊びに行ったんでしょ的な事いってたけど?」
「じゃあお願い、今日の所は私が謝るからそういう事にしておいて。ねっ?」
「なんだよそれー」
「だってしょうがないじゃない、彼氏と喧嘩して別れ話まで出てたんだから」
「ふーん、そーですか好きにやってくれ」
あれだけ心配してやったのに何だよそれ。そう思いながら俺はズカズカと二階に上がった。
しかし姉貴は階段を上がる俺の後ろをついてくるようにして上がってきて、そのついでにカンチョ―までしてくるという。あーマジなんなんだよ。
「これよろしく」振り返ると、そこには黄色いハンカチが入っていた。
「なんで今渡すんだよ、さっき渡してくれたら良かったじゃないか、そしたらすぐに行けたのに。また下りなきゃなんねーじゃん」




