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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
第二章 上進
124/149

8

どういうことだ?


 トイレから出て走って家に向かう。

 姉貴が危ない。

 しかし、家の前には姉貴の姿はない。

 息を切らしながら玄関を開く。鍵はかかっていない、驚いて家の中に入る。


 オカンが驚いたようにして「どうしたの?そんな顔して」とそう言った。

「姉ちゃんは?」


「千絵?二階にいるでしょう?」


 そう聞いて、姉貴の部屋まで階段を一段飛ばしで上がっていき、姉貴の部屋を開ける。ピンクだ。

 いや、今はそれどころじゃない。俺の部屋を覗く。しかし姉貴の姿はない。寝室や書斎にも探しに行くが姉貴の姿はどこにもない。


 お風呂場も探してみるが、姉貴はいない。

 もう一度電話をしてみる。


 着信音が聞こえる。その音を頼りに携帯を探す。玄関だ。玄関の方から鳴り響いている。


 玄関に向かうも携帯電話はどこにも見当たらない、しかし明らかにここから着信音が聞こえてくる。


 音を頼りに靴を調べて行く。

 見つけた……。こんなところにあったのか。

 ブーツの中に携帯電話が入っていて覗き込まないと分からない場所にそれはあったのだ。

 なぜにこんなところに?


 姉貴の身に何かがあったに違いない。もしかしたら翠さんがきたのかもしれない。いや耳山さんが姉貴を連れだしたのかもしれない。


 もう一度外に出てゴミ捨て場の方まで行くが姉貴の姿はどこにもない。ぐるっと一周その辺を回るが姉貴の姿はない。

 もしかしたら入れ違いになって家に帰っているのかも知れない。そう思い家に戻る。


「千絵見つかった?」

「そうやっていうって事は姉貴はまだ帰ってこないということ?」


「そうねぇ、遊びにでも行ったのかしらね?」

「携帯を置いて?」


「忘れたんでしょう?いいからあなたもご飯を食べなさい」

「いや、いい。俺ハンカチ持ってくから先に寝てて」そう言って再び家を出て今度はC町へと探しに行った。


 さっき俺が隠れていたトイレを覗いてみるが姉貴の姿はない。


 チクショー。一体何があったって言うんだよ。


 公園を出てぐるっとC町を一周する。


 翠さんの家の警報機は静止していて、特に警察が来ていたりとかするようなことはなかったので、安心した。

 

 黄色いハンカチを急に思い出した俺は翠さんの家の前の柿田さんのお宅にハンカチを入れる。


 家の前に停めてあるヘルメットがかかっている自転車に目が行く。

 へ~ここの人だったんだと一人頷く。いつも坂の上から水色の制服を来た白いヘルメットって自転車でシャーッと下りてくるやつがいるんだけど、そいつが行っている学校は偏差値がかなり高いやつじゃないと通う事ができないという有名な私立高校で、この辺に住んでる人があそこの高校行っているなんてすげーなとか思っていたんだけど、へ~、ここに住んでいたのか。


 顔を見上げて電気が点いている二階の部屋をみる。しかし、電気が点いているのが分かるだけで他には何も見えない。

 勉強でもしているんだろうか。


 しかし、次の瞬間その窓からその男子生徒を窓から顔を覗かせて目が合ってしまった。俺は慌てて目を逸らした後に猛ダッシュで走った。



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