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「まぁね、まあポエムに入ろうよ」そう言ってポエムに向かい俺はオムライスを川嶋さんは明太子とイカのパスタを注文した。
「じつはさ……これ」そう言って少し勿体なぶりながらじゃーんと言って渡した。
「え?なにこれ?」首を傾げながら訊く川嶋さん。
「いや、その駅で可愛いなと思ったからプレゼントにしようと思って」
「え?駅?どこかいってたの?」
「開けてみて?」
「えーなに?」そう言いながら嬉しそうにして紙袋の紙テープを剥いで中を覗く。
「わー、可愛い。コインケース?ありがと~う」
「うんどういたしまして。それからこれ」そう言いながら、出来立てほやほやの免許証を川嶋さんの手に渡した。
「え?なにこれ?え?免許証?なに?え?どういうこと?」
「実はさ、俺この数か月二輪バイクの免許を取りにレイマンに通ってたわけ。それで会えなかったりバイト行ったとか嘘ついたりさ。つまりそういう事」
「えーなにそれー?マジですごいえーカッコイイ」
カッコイイ?その言葉に妙に反応して、照れる俺。
「ハハ」
「え?二人乗り出来るバイクの免許?原付は乗れないよね?」
「そう、二人乗りできるやつ。俺さ今日免許センターに行ってて、合格したら川嶋さんに一番に伝えようと決めてたんだ。だからオカンとかにもまだ言ってない」
「そ、そうなんだ。そんな事知らなくて私……ごめんね酷い事言っちゃったね」
「ううん良いんだよ。バイクの免許を取ろうとしている事知らせなかった俺も悪いし。一年は後ろに乗せたらいけないんだけど、一年後には後ろに一番に乗って欲しいって思ってる」
「関谷君……」
川嶋さんは何故か涙ぐみながら俺の名前を呼んだ。
「お待たせいたしました、オムライスの方は~?」
なんだかいつだって、一番いい時に邪魔が入るきがするのは気のせいか?「はい」そう言ってオムライスを受け取る。
すぐに川嶋さんが注文したパスタもやってきて、俺は免許証を財布に大切に収めて、川嶋さんはカバンの中に、大切そうにコインケースを収めた。
食べ終わった頃には八時を回っていたので、それ以外は他に行かず川嶋さんを家まで送って、幸せな気分で夢心地の中、家に帰った。




