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第二章 上進
「関谷く~ん」ビキニを着た川嶋さんが手招きして俺を呼んでいる。
「今行く~」そう言って俺はニッコリして砂浜をかけりだす。
「す、すき」俺の目の前でそういう川嶋さんを、思いっきり抱きしめて「俺も」と言ってやさしーく、ぶちゅううううんとしていると、
目の前の川嶋さんの頭から日本の角が徐々に生えてきて、
ガクガクガクと全身を震わせ目は鬼の様に吊り上がってきてその口からは二本牙が生えてきてそして「亮介め~」とどこかで聞いたことのあるような恐ろしい声で発する。
そして川嶋さんの顔は完全に……。
「亮介」
ん…んん…
そして目を開けた瞬間に鬼の顔が……
「どぅわあああああああー」
「どうしたのよ大丈夫?」
ん?
もう一度よく見るとそれは鬼ではなく姉貴の顔だったのだ。「なんだよ姉ちゃんか」
「なんだよってなによ?それよりこれ見て」
『都民谷家のマイナスポイントが計5点を超えた為、タヒにました_。さぁがんばりましょう』
「お母さんがポスト見に行った時に入っていたんだって」
衝撃的な夢と衝撃的な事実とが俺を混乱させる。そして、ブハハハハと笑った。
「変な夢みたけど、現実でも起きそうな夢でリアルだった」そう言った。
「なに寝ぼけてんのよ~あんたもう11時よ?バイトとかないわけ?」
バイト?!
その言葉に布団からおび起きた。「11時?」時計を見るとすでに5分を過ぎており、11時5分を時計の針は差していた。
「ヤバイ寝坊した」そのまま着替えて、歯を磨いてご飯も食べずに家を出てバイト先へと向かった。
タイムカードを押すなり店長を探しにいき「すみません寝坊してしまいました」そう言って頭を深々と下げた。
「関谷く~ん君は最近どうしたのかね?クビ飛んじゃうよ~」彫りの深い店長は言った。




