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実のところパスタ屋でペペロンチーノを頼んだのは初めてだった。
オカンがお昼に作ってくれたりするから、店で頼むのは勿体ない気がしたが(まぁあまり外食はしないのだが)店で食べるペペロンチーノと言うのはやはり美味い。
いや、多分この店のが美味いのもあるけど、目の前に川嶋さんがいるからだな(恥)なんか、自分で言ってはずかしくなってしまったのだが。
しっかりとパスタを味わい店を出て、夜景が綺麗な場所へと向かった。
ガードレールの向こうに海の様に広がるキラキラと宝石の様に輝くいくつもの光がより一層にロマンチックさを醸し出している。
自転車を下りてから、二人でガードレールの前に並んでその夜景を眺めた。川嶋さんの肩が俺の腕にそっとあたる。
俺は右手で川嶋さんの肩に手を回し川嶋さんをギュッと抱き寄せた。
自分でも大胆な事をする自分に驚きながらも、川嶋さんの顔を見つめ長くて綺麗な髪の毛を俺は耳に掛けるようにして、しかしその時、川嶋さんの携帯が鳴り響いた。
気にしないように努めるのだが、
あまりにも長く鳴り響いて漸く切れたと思ったら再び鳴り響いてしまい、ついに「出た方がいいんじゃない?」と俺はそう言った。
雰囲気ズタボロ。
せっかくのロマンスが……しかし、もう電話が鳴り響く時点でムードはガラガラと崩れ始めていたのだから、そんなに落ち込むなよ俺、お前のせいじゃないさ~と自分を励ます。
「ごめんね」そう言ってかわしまさんはもしもしと電話に出た。そして分かったと言って電話を切り終えて「ごめん関谷君今日は帰らなきゃ」そう言った。
「うん、帰ろうか」そう言って坂道をぐ~っと下って川嶋さんの家へと向かった。
女の子を夜道一人で返すわけにはいかないから。(お~そうやって言ってみておもったが、俺カッコイイひゅ~)




