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ドロップド・ハンカチーフ  作者: 大和香織子
ドロップドハンカチーフ2 第一章 進級
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25

 少し気になるような気がするが、そんな事俺には関係がない。家に入り、夕飯を食べ風呂に入り、後は寝るだけ状態にして愛しのマイルームに向かうと、姉貴の声が廊下にまで響き渡ってきてうるさい。


「超いいじゃんか~」そんな事を言っている声が聞こえてくる。

 また長電話かよ、呆れながらマイルームに入る。しかし隣の姉貴の部屋から声が響いてくるので、気が散って仕方がない。


 いつもの事じゃ~ないか。頑張ってそう思ってみようとしても、いつも以上にうるさいので、仕方なくテレビにヘッドホンを繋いでゲームを始めた。


 しかし、そこで気が付いたのだ!


 なんていうことだ!今日俺はゲームをする気分になんてなれない。それでも一応二、三面はやってみる。

 駄目だ気分が全くのらない。


 テレビのチャンネルを色々と回してみる。が、特に面白そうな番組はなさそうだ。


 諦めてヘッドホンを外し、ベッドに横になる。


 しかし、姉貴の声がうるさい。どうにも気が散る。


 なんでこんなにイライラしているんだろうと考えてみる。あっ、そうだわ今朝のチンピラ騒動の事が俺気になってんだろ?


 そうだわ俺、あの後どうなったか心の奥底では気になっているんだろう?そして思い出したようにすくっと立ち上がって、階段を下りサンダルを履いて玄関のドアを開け外に出た。


 いくつもの星がキラキラと輝いて、空がとても高く感じる。俺の心とは正反対な心地よい風が俺の頬をくすぶる。


 ポストをもう一度覗く。


 ない。何一つ入っておらずホッと安心して、その場で屈伸なんかをして、少し散歩に出ることにした。


 大きな犬を連れた人が散歩をしていて、俺の方に犬がクンクンとすり寄ってきそうになったので、どうもと言って、その場から逃げるようにして立ち去り、B団地の方へと向かって歩いた。


 川嶋さんが親戚の家にいたりして、まぁ平日の夜中にいるわけないよな。


 そして思い出していた。


 今日、学校が終わって駐輪場に行く途中、川嶋さんを見かけて声をかけようとしたら、背が高くてイケメンな奴が川嶋さんの隣に行って親しそうに話しかけていて、川嶋さんも嬉しそうにして笑顔でいたのだ。


なんとなくその時の川嶋さんの顔が頭にこびりついていて、ふとした瞬間に再生されてしまう。


 なんというか、良い気分ではないことだけは確かなのだが、川嶋さんにだって友達だっているだろう?男友達だっているはずだろう?全然おかしいことでもなくて、普通の事さ!


 そんな事は百も承知さ!のはずがさ、なんか腑に落ちてないと言うかな。


 もっとドシッとしていたいんだけどな。俺ってこんなに考える様な男だったか?自分でも不思議に思う時があるんだが。


 まっ俺の感情を一から口で説明してくれる人もいないし、考えた所で答えが分かるはずもない。


 川嶋さんの親戚の家の前を通りながら二階の出窓辺りをじーっと眺める。「関谷くーん」と笑顔で手を振る川嶋さんの姿なんてあるはずもなく、ただ何事もなく通り過ぎて、そして今来た道を引き返して、自宅へと戻る。


 俺は一体何をしているのだろうか。自分のしている行動が、自分でも理解不能なのだ。

 どうかしているよな……。


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