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27話:金貨の価値は?

「帰ったーー!」


 アス子のアースゴーレムに乗ってあっという間に街から家まで帰ることができた。


 本当に疲れた。


 俺はそのまま椅子に倒れるように座り込み、アス子が肩を揉んでくれた。


「お疲れさまでした、ご主人さま」


「ああ、ありがとうアス子」


 慣れない土地とはいえ、自分の家の中というのはやっぱり落ち着く。


「マスター、お店で作物とか買ってこなくて良かったの?」


「あ」


 キーコに突っ込まれて気づいた。


 せっかく街に行ったなら育てられる作物とか、食べられる物を買い込んでくればよかった。


「それでしたらウチがいきますよぉ~」


 ガッカリしているとシャトルが名乗り出てくれる。


「街まで買い物に?」


「はいぃ~、アス子先輩のアースゴーレムに送り迎えしてもらえればすぐですからぁ~」


「確かにそうだけど、アス子は?」


「はい、私も問題ありません」


「そっか。それじゃあシャトルに買い物任せちゃおうか」


 一食銅貨五枚前後で買えるという話だったので、金貨一枚持っていけば事足りるだろうが、一応念のため金貨を三枚渡しておこう。


「シャトル、金貨を三枚渡しておくから、二枚は予備で、一枚で食材や食べ物を買ってきてくれるかな」


「ご主人さま、何か作物の種があればそれを購入してもよろしいでしょうか?」


 後ろで肩を揉んでくれているアス子が付け加えてきた。


「うん、全然かまわないよ。他にもシャトルが必要だと思った物も買ってきていいよ。ていうかシャトル一人で大丈夫?」


「糸もありますので大丈夫ですぅ~」


 シャトルの糸の扱いはゴブリンロード討伐で活躍していたからよく覚えている。


 あのゴブリンロードほどの強敵でなければ撃退することも用意かもしれない。


「分かった、それじゃあ頼むよ」


「はいぃ~」


「ん」


 キーコがウッドマンを三体連れてきた。


 何をするつもりだろう?


「荷物運びで連れていくといい」


 なるほど。


「ありがとうございますぅ~。よろしくですぅ~」


 シャトルがウッドマンにそう言うと、ウッドマンたちは愉快に踊り始めた。


 木の人形がおかしく踊っている姿は面白く、ちょっとした見世物になるんじゃないかな。


「それでは行ってきますぅ~」


「ああ。気をつけて」


 暗くなる前に帰ってこられるといいけど、大丈夫かな。


「さて」


 どすんとテーブルの上に金貨の入った袋を置いた。


 金貨が二百枚近くある。


 おそらくこれで暫くどころから数十年は安泰かもしれない。


 そう考えると金貨二百枚という仕事は妥当だったのかな?


 いや、一食銅貨五枚前後を考えると、破格に思えてきた。


 もし銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚だと過程したら……どうなるんだ?


 銅貨千いや……一万枚分?


 やっぱり多くないか?


 いや、命を張ってあの大群に突撃したと考えれば、妥当なのかもしれないが、この世界の価値観を知らないけどやっぱり多いように感じる。


 そもそもこの二百枚は、クエストに参加した者たちに分配されることを想定した金額だった可能性は?


 それを俺一人が独占してしまったというケースということも考えられる。


 なんにせよ、当分はクエストを受けなくても問題ないくらいある訳だ。


 元々金がなくても問題ない生活を送れそうだっただけに、この金貨の使い道には困ってしまう。


 やはり価値観を確かめるために俺が買い物に行くべきだったか。


 シャトルに買った銀貨十枚の糸束。


 さっきの仮定で計算すると、銅貨千枚分。


 食費にして二百食分。


 凄い高い糸だな?


「ふぅ……」


 仮定でしか考えられていないので性格な数字は分からないが、やはりこの金貨は俺の手に有り余り過ぎる。


 ドールのみんながいればあまり必要性を感じないし、どこかに寄付したりとかしたほうがいいかな……。


 そんなことを考えているとクエストの疲労からか、急に睡魔に襲われ抗えずに寝てしまった……。

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