1.納得できない
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真っ白な髪に真っ白なワンピースのような服を着た創世者様は、疲弊していた。
「だって、納得できないの!」
乙女ゲームのノーマルエンドを迎えたあと、ティアラはあっけなく死んだ。攻略キャラクターの婚約者候補全員にはめられて殺されたのだ。
「あの時、メイドを振り切ってラウル様に会いに行っていたら、絶対に結末は変わってたはずよ!」
延々と同じ事を繰り返し叫ぶティアラを、創世者様は早く来世に送りたい。けれど、そんな話しすらさせてもらえないほどティアラは捲し立てていた。
「なら、もう一度試してみればいい」
「できるの?!」
「自分が生まれ変わりたい世界と人物を強く思い浮べれば、その来世が始まるだろう」
前世と同じものを選んでいけないルールは無いと言われて、ティアラはショックで固まった。
「おーい。大丈夫か? 大丈夫じゃないな。なら他の人間の相手をしてくる。お前はしばらく待っていろ」
「嫌よ」
「はぁ? ――って、私の服を掴むな! 伸びる! 首が絞まる! やめろ! おい、やめてくれ」
立ち去ろうとする創世者様の服にしがみつき、死んでも離さない形相でくらいつく。
「ひ、一人にしないで。ちょっと同じにするか迷っちゃったのよ。居るだけでいいの。聞いてくれるだけでいいから」
「だ――!!! 私だって忙しいんだ。お前だけの相手をしているわけじゃないんだよ」
「でも、でも、だって! 決められないんだもん」
「なら、新しいものを選べ」
「いや!」
「よし! それで決まりだ。さっさと思い浮かべろ。いいな。それでは良い来世を!」
「そんなぁぁぁぁぁ!」
突き飛ばされて落ちた先の椅子にお尻がはまる。そのまま乗り物が動き出した。
「達者でなー。二度と来るなよー!」
創世者様が大きく手を振っている。そしてだんだん霞んでいった。どんどん光が強くなり、視界が真っ白になっていく。
(こ、今度こそは成就してみせるわ!)
そうしてティアラは、再び世界へと旅立っていった。





