第六十一話「丸森の戦い〜その一」
いつもと別の端末で書いてるのでひょっとしたら読み難いかも知れません。
多分後で修正します。
天文11年(1543年)8月
丸森の地に相対する伊達稙宗と晴宗の両軍。
お互いに15,000を超える軍勢を用意した二人の決戦は、この時代の戦としては最大規模の物となる。
責任を果たそうとする稙宗と、退けない所まで来てしまった晴宗。
親子のすれ違いは、もはや止まらない。
-柿崎景家-
おぉ〜凄いんだぞ。
これだけの軍勢は越後でも集まった事が無いんだぞ。
お互いに現在は鶴翼に近い陣形を取っている。
これは各家の軍が動きやすいように、ぞれぞれの持ち場を決めて配置されたんだぞ。
こっちの軍は中央に稙宗殿や黒川など、右翼に相馬殿、左翼に俺たちと田村・二本松などが布陣しているぞ。
「景家君、敵の陣が動いてますよ」
「俺たちの前に動いてるのか?」
敵の陣が移動を開始しているが、中央の本陣の傍にいる兵の大半が俺たちの居る左翼に向かっている。
指揮しているであろう者の旗印は重ね剣菱。
・・・誰なんだぞ?
「あれは鬼庭の旗印だね。確か僕達が蘆名と争っている間に稙宗殿達の軍を相手に大活躍していた筈だよ」
俺は椎名殿に相手が誰か教えてもらう。
よく考えたら、俺がよく知ってる奥羽の将は相馬殿くらいだったんだぞ!
「知らなかったんだぞ」
「ちゃんと軒猿からの報告に目を通さないと行けませんよ。景家君達が戦っている間も情報を集めてくれてるのですから」
う〜ん、確かにそう言われると申し訳ない気もするんだぞ。
でも、俺はそう言うのは苦手なんだぞ。
「・・・そう言うのは道兄ぃや神兄ぃが得意だから」
「でもこうやって二人が居ない戦場では、頼ることは出来ませんよ。情報を知ることで、後で楽ができるんですから少しは気にしなさい」
椎名殿は実に飄々と厳しいことを言うんだぞ。
確かに二人を俺が頼ってるのは間違えないぞ。
そして何でも出来るのは総大将の道兄ぃに必要な事で、俺に求められるのは戦働きだと思う。
でも、今後も道兄ぃの領地が広がればこう言う機会も増えるだろう。
俺も少しは気にしないとダメだとは思うぞ。
まぁ今回の戦で道兄ぃが椎名殿を一緒に付けたのは、俺のそう言う弱い部分を助けるためだと思うんだぞ。
だから今回はそういう部分は椎名殿に苦労してもらうぞ。
「解ったぞ。でも今は目の前の敵を、どう倒すかなんだぞ。」
「そうですねぇ。伊達家の軍の、ほぼ全権を任されるほどの優秀な将が相手となると、楽をさせてもらえないでしょうねぇ」
目の前に迫る軍は、行軍の様子を見ても統制が取れているし手強そうなんだぞ。
相馬殿と話したような、突破して晴宗の首を取るのは少し難しそうだぞ。
俺が考えていると、椎名殿は戦場全体を見回している。
「敵の布陣を見ると中央に伊達家の残りと大崎・葛西らの混成軍、右翼には最上ですね。いっそ相馬殿が最上を抜くまで引きつけて置くと言うのはどうですか?」
「・・・そう言うのは苦手なんだぞ」
椎名殿は全体を見て、そんな作戦を提案する。
神兄ぃならその作戦を完璧にこなすだろうけど、俺は性に合わないんだぞ。
「ならどうしますか? 流石にあの軍を抜くのは難しいと思いますよ?」
「決まってるんだぞ」
俺は俺の得意な事で勝負する。
道兄ぃに出陣の際に言われたことだぞ。
だから作戦は決まっている。
「突撃にも色々とあるんだぞ!」
-鬼庭良直-
俺の任された軍は敵の左翼と交戦を開始する。
お互いに弓や投石により牽制している。
左翼の中の敵の配置を見ると、右に田村、中央に二本松、左に長尾か。
田村や二本松と連動する長尾軍の蔦の旗印。
確か越中の椎名だったか?
本来ならお互いを詳しく知らずに連携など取れないだろうに、上手く周りに合わせている。
と言うか、あれは田村や二本松を動かすことで自軍の温存を計っているな?
決戦はまだ先と見たか?
それにしても、もっとも警戒すべき相手がどこに居るか良くわからんな。
蘆名の軍を横断する様に突撃したと言う柿崎景家。
確かにこの戦場に来ているはずなんだが?
しばらく戦っていると、椎名の軍が横に大きく動いて行く。
こちらの側面を突くつもりか?
蘆名を相手にした時の様に、俺の軍も突破するつもりか?
それとも俺の軍を包囲に置くつもりか?
だが、そう簡単にはさせんぞ。
「全軍、側面の長尾軍からの攻撃に注意せよ」
「はっ!」
俺は長尾に警戒するように指示を出す。
軍の意識が長尾の方に向いたその刹那。
「敵の右翼に動きあり!」
俺が右翼に眼を向けると、猛然と俺の軍に突っ込んで来る騎馬部隊。
・・・あれは田村の動きじゃないな。
!? まさか。
「敵の旗印見えました! 九曜かぶらです!!」
やはり柿崎か!
敵は俺の軍の左側を駆け上がり、後方の薄い部分を狙っている。
なるほど、柿崎に注意を向ければ残りの軍に囲まれ、放っておけば俺の軍を蹂躙する気だな。
だが、そう上手く行くかな?
「後方の父上に連絡を。敵の突撃をいなして欲しいと」
「はっ!」
後方に控えて貰っていた父・鬼庭元実に、柿崎の相手を一任する。
父上が率いる軍は1,000、敵の数は幸いにも500程度だと思われる。
経験豊富な父上の用兵なら、少なくとも直ぐに崩れる事はないだろう。
さて、こちらも動くか。
「前進せよ、残りの全軍で敵を各個撃破するぞ。まずは左の田村からだ」
ー天文の乱の行く末を決める大戦の火蓋が切って落とされる。
景家達が敵とぶつかり合った様に、各所でも軍が対峙する。
ちょっと前から景家が主人公ポジションです。(爆)
そして鬼庭もそう簡単には崩れてくれません。
次回は他の軍の動きになります。




