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悪役令嬢、不登校を決める。~学校サボってダンジョン行きますわ!~  作者: サイリウム


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9/36

9:来襲ですわ!


まぁというわけで護衛の皆さんに押し切られ、今日はお開き帰宅と相成ったのですが……。



「んふー! いいもの手に入りましたわー!」


「よ、良かったですねお嬢様。」


「でしょー!」



現在馬車の中。護衛の皆さんと一緒に王都の屋敷まで帰還しているのですが……、ついつい声が漏れてしまいます。


あ。ちなみに馬車ですが、貴族が使うような豪華な物でなく、商人さんたちが使うような比較的質素なものとなっております。私としては徒歩で行き来する形でも良かったのですが、『街中で護衛するよりも馬車を守った方が楽です』と言われてしまえばそちらを選ぶしかございません。


なにせ自身のワガママ、趣味の為にお仕事してもらってるわけですからね。あの隠しフロアでの戦闘に手を出さず見守ってもらえたという恩もありますし、ここで無理を言えば罰が当たってしまうでしょう。


というわけで,、女性の護衛の方と馬車に同乗し、その周囲を他の方々に守って頂きながらお屋敷に帰る途中なのですが……。



(んもう! にやける顔を抑えられませんわ! 何かあった時のために変装したままですけど、口元は露出しているタイプなのでバレちゃいますわ! 微笑ましい目で見られてますわ~!!! 恥ずかしいっ!)



私が現在装着している『隠蔽』付きの仮面ですが、舞踏会で使うような目元を隠すものになっております。掛かった魔法のおかげで自身がヴァネッサとバレることはないのですが……、口元の表情までは物理的に隠すことが出来ません。くッ! 王子と一緒にいる際に顔が崩れないよう鉄面皮を取得したのに! 喜びが、喜びが溢れちゃいますわ! ヤバいですわ! ふぉぉぉ!!!


まぁそれもそのはず。何といったって今私の中に納まっているのは……、お目当ての剣。



(なんの変哲もない『レイピア』! でもそれだからこそいいんですわ~!!!)



今対面に座ってる護衛の彼女、公爵家の財を持ってしっかりとした武装で身を包む彼女からすれば、『なんでそんな安い剣でお喜びに……?』という感じでしょうが、これだからこそいいのです! お店で買いますとちょっとお金がかかりますからねー! それを節約できただけで嬉しいですし、何より初めて自分で手に入れた剣です! 嬉しさしかありません!


初期装備の『ソード』がSTR+1、その次の『ロングソード』がSTR+2、そしてこの『レイピア』がSTR+2 SPD+1。確かに効果は微量ですが、速度が上がるのは良いですよねぇ。



「……して、お嬢様。細身の剣をお使いになられた経験はおありですか?」


「あんまり! 基本重いの振り回していましたわっ! ……いえ正確に言うと振り回されていた、かしら?」


「でしたら次の『ご趣味』までに、我らと予行練習するのはいかがでしょう。僭越ながら隠れて拝見させて頂いておりましたが……、まだまだ成長の余地があるかと。」


「もっとはっきり『へたっぴ!』と言ってもいいのよ? 解ってるし。じゃ、明日にでもお願いしていいかしら!?」


「御意。」



こんな風な会話を彼女と交わしながら、彼女にバレぬよう、静かに『/status』と唱えます。


そ、今回のダンジョン巡りでは結構な数の魔物を倒すことが出来ました。最後の隠しフロアでの連戦も、かなりの数が稼げたと思います。そしてそれだけ倒したとなれば……、経験値もそれだけ入っているということ。


唱えた瞬間に私の眼の前に出現した青い板を、眼前の彼女が把握していないことから……。これを見れるのは私だけなのでしょう。ちょっと残念な気もしますが……、こういう数値は一人でニヤニヤしながら楽しむのも良いのです。さ、改めて確認と行きましょうか!




[STATUS]

Name : ヴァネッサ・ド・ラモルヴィーヌ

Race : 人間 (転生)

Age : 15

Job : 貴族

Level : 6 (+5)

EXP : 7 / 30


HP : 11 / 11 (+1)

MP : 13 / 13 (+3)


ATK : 2 

DEF : 2 (+1)

M.ATK : 7 (+3)

M.DEF : 8 (+2)

SPD : 9 (+4)

LUK : 13 (+2)


SP : 5 (+5)


Skill Slots: 0 / 3




う~ん! いいですわねぇ! しかも初日で一気に5つもレベル上がるのは幸先がいいのではないでしょうか! ちょっと昔の経験と言いますか、前世覚えたゲームでの魔物が持つ経験量を考えると、少々上がり過ぎな気もしますが……。おそらく最後の戦闘が、1対2の連続ではなく、1対25と換算されたのでしょう。


詳しい計算式は覚えていませんが、一度に戦う量が多ければ多いほど、補正が掛かったはずです。それにしてもちょっと多過ぎな気もしますが、レベルは高ければ高い方がいいのは、周知の事実。細かいことは気にしないようにしましょう!



(にしても……、ATK。物理戦闘能力が上がってないのが気がかりですわね。わたくし、魔法よりも暴力がしたいのですが……。ま、まぁ防御力関連が上がってますし、SPもあります。)



自身の好きな項目に振り分けることが出来るのが、SPです。これを一気にATKへと叩き込んでしまえば、3倍以上のパワーを手に入れることが出来るのですが……。実はまだ自身がどのビルドをしていくか、詳しく決めてないんですよねぇ。


前衛職であることは確実なのですが、魔法剣士などの物理と魔法を融合させた職業などもあります。



(それを考えると、今振り分けてしまうのではなく。何かあった時の為にとっておくというのがいいでしょうねぇ。)



とまぁそんなことを考えていると、馬車の扉を叩く音。


その音を聞き護衛の彼女が小窓を開けると、外にいる護衛の方から、伝言が飛んできます。……何かあったのでしょうか? 外の景色を見る限り、既に王都に入っているどころか、高貴な者たちの屋敷が集まる貴族街へと入っています。ここまで来れば賊は襲ってこないでしょうし、お家までもうすぐ、って感じの距離だと思うのですが……。



「お、お嬢様。先触れとして向かったものからの報告ですが、どうやら屋敷の前に殿下の馬車が止まっている様でして……。」


「はぁ!?」



え、えぇ……。アイツ来ちゃってるんですの? こ、困るんですけど。


というか普通、体調不良の相手の家まで来ます? 手紙なら理解できますけど、アイツ王子ですよ? いくら私が公爵家で婚約者と言え、王子の方が上。圧倒的上位者がアイツです。そんな奴が家に来たらどんな体調でも全力でお出迎えしなきゃじゃないですか。王子だからこそ来ないのが礼儀というもんでしょう……。


え、ほんとに来ちゃってるんですか?



「マジで来てるみたいです。それと門番からの手信号によると、到着から結構経っている様子。もしかしたら中では、お嬢様が来るまでお待ちになっているのかもしれません……。」


「えぇ……」



うわどうしよ。マジで不味いですわね。


ご存じの通り、私はさっきまでダンジョンで遊んでおりました。学校を体調不良と偽り、ズル休みして、です。もしそんなことがバレれば……。家の品位を疑われてしまいます。私個人としましては『不良のバカ娘でーす! 家とは関係ありませーん!』という感じに振舞ってもいいんですけど、パパ上の性格的に確実に庇っちゃうでしょう。ゲロ甘ですし。


そうなると家全体の品位が疑われて、名誉を傷つけることに。


お家同士のお付き合いもありますし、領地同士での貿易も結構やってます。それが破棄されてしまうとなれば、経済的損失はいかほどなものか。それ以外の被害もあるでしょうし、バレちゃうのは絶対に避けなければいけません。


無論それを理解していて、隠し切れると判断したからこそ『趣味』に走ったわけですが……。



(しょ、初日に飛んでくるとか想定外ですわ!?!?!?)



え、マジどうしよ。こ、このままじゃ我がラモルヴィーヌ家が……。


うん? えっと。家の品位が疑われると、名誉とか地位が落ちるでしょ? そうなると自然と『ヴァネッサって王妃に相応しくないんじゃね?』という話が出るでしょ? そしたら王家側から婚約破棄が出るでしょ? 私があの王子と関わる必要もなくなって、あっちはあっちで原作通りのシナリオを進める。その間に私は自由に趣味を楽しむ。


……完璧では?


うん、ではもう気にせず正面から入ってくださいまし~! 身バレしますわ~!!!



「だ、ダメですよお嬢様! 裏! 裏口から回りましょう! あと馬を回しますので、それに乗って急いで屋敷の中へ! 今からでも急いで着替えて応対すれば何とか怪しまれないハズです!」


「えー。良いじゃないですか。あっちから断ってくれたら不敬にならないですし。」


「ダメです! お、お願いします! お願いしますっ! ここはどうかご理解の程を……!!!」



あ、これマジで駄目な奴ですわね。


ここでワガママ言っちゃうと、明日にはこの方が文字通り消えてしまうことに成りそうなやつです。…………はぁ、王子とお話しするのは滅茶苦茶嫌ですが、家のため、使用人たちのため。やらなきゃですねぇ。はぁ、マジ憂鬱。



「……すぐに先触れを出して屋敷に準備をお願いしてください。わたくしもすぐに参りますわ。」


「お嬢様……!  すぐにッ!」



はぁ、折角楽しいダンジョンだったのに、王子のせいで水が差されてしまいましたわ。あ~、どうしましょ。顔に微笑み張り付けて、会話プリセット考えなきゃですよね。距離も保たなきゃですし、あの人の好みである『障害』にならないようイエスマンに徹しなきゃ。


……うわ、考えただけでイヤになって来た。主人公ちゃん、別に私気にしませんから、さっさと殿下のハートを奪っちゃってくださいませんかねぇ。





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