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悪役令嬢、不登校を決める。~学校サボってダンジョン行きますわ!~  作者: サイリウム


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23/36

23:逃げられませんわ!


はい、ということであれから数日。


深夜帯にダンジョンでゾンビとネズミをしばき回り、日の出と共に屋敷に帰ってくると……。


出迎えてくれたグレタが、革袋と書類の束を運んできてくれました。一体なんでしょ?



「お嬢様。ギルドからお届けものです。魔石を換金したものと、募集を見た者の情報になります。」


「……早くない? あとこれって自分で取りに行かなきゃならない奴ですわよね?」


「ギルドには手の者がおりますので。送って頂きました」



あぁそう言えばギルド証作る時、そういうのがいるって言ってましたわね……。


いや取りに行く手間が減ったのでわたくし的にはありがたいですけど、今度は自分で行かせてくれませんか? 無論お昼にいけないことは私も理解していますし、人が多く護衛が守るのが難しい場所に行くつもりはありません。でも深夜帯で人が少ない時間帯であれば大丈夫でしょう? あとあの受付嬢がちょっと気に成るので見ておきたいってのもありますしね。


……あー、でも。募集見てくれた方とお会いする時は、お昼に行かなきゃいけない感じですわね。どうしましょ。



「畏まりました、ではそのように通達しておきます。して『面会』の際ですが、裏口から面会室まで移動するのはいかがでしょうか? さすれば護衛も守る箇所が固定できるかと。詳細はまた担当者と詰める必要があるかと思いますが……。」


「良いですわねっ! 手間かけますが、それお願いしますわ! あ、あと書類見るのでくださいまし~!」


「ではそのように。こちらです。」



軽く頭を下げながら手渡してくれる彼女、それにお礼を言いながら書類を受け取ります。


さてはて、どんな方が応募してくださったんでしょうね?


ご存じの通り、わたくしのチームは現在私だけ。そしてそのタイプは、『軽装型前衛』というものに分類されます。速度を持って敵との距離を詰め、相手の攻撃を回避しながら何もさせずただ苛烈に攻め切る。一度でも攻撃を喰らってしまうと護衛の皆様が飛び出してしまうので、だったら相手に攻撃させなければいいじゃん! という考えを持って行っているものになります。


単なる個人的な趣味を実行するなら、重装型前衛。堅くて重い鎧を着て、クッソ重くて強い武器を振り回す方がいいんですけどね? 体格的にちょっと難しいですし、ステータス的にもあっていないのでこんな感じになっております。



(そして今、足りないと思われるのは……、後衛。)



今はまだ何とかなってきますが、いずれ私の攻撃力だけでは倒せない敵が出てくるでしょう。そんな時は少し攻略速度を落し、簡単なところでチクチクレベリングしてもいいのですが、仲間を集めて攻略するのも乙というもの。ということで今回は『攻撃・支援・回復のいずれかが出来る後衛職募集しています。能力次第で前衛職も可』みたいな感じにさせて頂きました。弓兵とか魔法使いとかシスターとかを求めてる感じですね!


ちなみに前衛職を入れたのは、今足りなくても今後必要になるから、ですわ。何人パーティになるかは解りませんが、後衛がいる以上前に立つ盾は多いほどいいのです。軽装で怪我できない私は回避を前提とした戦いになってしまいますし、後ろを守るにはもう一枚前衛がいた方がいいでしょう?



「ま、見た感じやっぱ後衛の人が多いみたいですが……。うん? あの、これ……。グレタ?」


「いかがいたしました?」


「なんか明らかにギルドの内部情報みたいなの書いてない? 依頼の達成履歴だけじゃなくて、個人情報が滅茶苦茶書いてあるんだけど。履歴書よりも詳細じゃない?」


「大変申し訳ございません。どこぞの馬の骨をお嬢様に近寄らせるわけにもいかず、詳細な情報をギルドに求めました。しかしご安心ください、お嬢様の眼を汚すような輩は事前に省いておりますので。」



あ、そういう……。



「い、一応省いたのも持って来てくれる? どういうのがあった、ぐらいは知っておきたいの。」



そう言うと一瞬顔を顰めるグレタでしたが、すぐに用意してくれます。表情と若干張ったお耳から『絶対こっちから選んでくれるな』というお顔をしていますが、まぁ見るだけですから、ね? ということで今度は省かれた方に眼を通していくのですが……。


あ、あの。グレタ? なんか私の知ってる名前というか、ウチの護衛の名前がいっぱいあるのですが?



「こちらで幾ら精査してももしものことはございます。故にいっそのこと自分たちがご一緒すればいいのでは? と考えたのでしょう。しかしあまりにも杜撰な偽装でしたので、お嬢様の眼に入る必要すらないと省いたものになります。そのほかに関しましては、素行が悪かったり犯罪歴がある者たちですね。あぁ無論、“やむを得ない場合”や“お嬢様が気に入りそう”なものは残しております。」


「あー、そういう。」



にしても、さっすがグレタですわね!


私がわんこ、それもモフモフが好きなのは周知の事実ではあるのですが、同時に癖の強い人もとっても大好きな人間です。最近よく話題に上がる存在と言えば、べリアンヌあたりでしょうか? まぁあんな感じの子が大好きなんですの。だって面白いでしょう? それに、『公爵令嬢』としても、こういうのは都合がいいのです。


癖が強いということは、個人の我が強く周囲に溶け込みにくいという欠点があります。そうなるとまぁ異物を排除したがる人間の修正から、その癖が強い人は浮くわけです。そこをこう、わたくしがね? いい感じにお声をかけて雇いあげてしまえば……。とってもWINWINな関係に成れるでしょう?


こういう考え方はあんまり好きではないのですが、パパ上に珍しく語気強めに『人の上に立つのなら信頼でき裏切らない者を作る必要があるんだよ。』と教えられましたからねぇ。頭沸騰しそうになりながら頑張った結果、こんな感じになってるわけですわ! それに、趣味が実益を兼ねてるところがありますし!


そんな性格をグレタが解っているからこそ、癖の強い人を残してくれたのでしょうが……。



「……まぁ自身から見ても疑問を抱かない者は残していますが。」


「うん? 何か言いましたグレタ?」


「いえ、何も。」


「そう? ならいいのだけれど。」



何か誤魔化された気がしますが、そのまま読み込んでいくと……。うわッ、主人公おるッ!!!!!


え、なんで。なんでここに!? というかどこで見つけて来たんですかコイツッ! こ、怖すぎる。お祓いしておこうかな……。あ、そう言えば『ヴァル』って名乗っちゃってましたし、ヴァル名義で仲間の募集を掲示板に張っちゃったんでした。あー、うん。そりゃ応募してきますわね。この子なら。普通にガバしちゃいましたわ。


よし、書類選考落ちの方に送っておきましょう。お祈りですわ~!



「うん、こんなもんですわね! とりあえずこっちに纏めた分のお方は一回面談してみたいですわ! 悪いけど、ギルドに伝えておいてくれるかしら! あと“呼んでないの”が来そうなので、トップシークレットでお願いしますわ!」


「畏まりました。ではそのように。」



うんうん、ちょっとすごく気に成る人もいましたし、楽しみですわ!


……あ、そうだ! これから仲間に成る方にみっともない姿を見せられませんし、ちょっと今からもう一度レベリングしてきますわ! ダンジョンですわ! 魔物虐殺ですわ~!


そう思い屋敷から飛び出そうとすると、何故か方にかかられるグレタのもふもふお手手。しかしそこに掛けられる力は、万力のようなパワー。あ、あの。それ以上掴まれると肩砕けちゃう……



「お嬢様? ここ最近の睡眠時間が大幅に減っており、同時にお勉強時間が減っているのはご理解いただけているでしょうか? お忘れかも知れませんが、お嬢様は未だ学生。そして来月には1学期の中間試験が控えております。学園のご厚意により屋敷での解答が許可されましたが……、点数が低かった場合。お分かりですね???」


「……ア、ハイ」


「湯の用意が出来ております。汗を流した後はしっかりと睡眠をとって頂き……。勉学に励んで頂きたく。」


「モ、モチロンデスワ!」



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