これ、なんて2Dゲームですか?
さて続きましては、大和の出番。
一之瀬も出場する障害物競走だな。
……ある意味でこの学校で二番目に危ない競技かも知れないな。
一位は……もう本当に戦争なんじゃないかと思われるほど凄い競技なんだよな。
「……大和とか言ったな」
「うん?君は……」
あ、あいつは……。
顔の一部分が長いアイツは……。
「あの時はよくも恥をかかせてくれたな」
「……何の話?」
あの時?
「なぁ、あの時って何の話だ?」
俺は気になったので、隣にいた晴信に尋ねる。
すると晴信は、
「ああ、一回お前が入院した時があったろ?」
「……そういえばそんなこともあったな」
「その時に、うちに学校破りが来たんだよ」
……学校破り?
それって、道場破りの学校版みたいなものか。
でも、なんでまたうちの学校に来たんだ?
「さすがに俺達もそこまでは知らないけど……そいつが風魔術が使えるやつって聞いてきてな」
「……なんとなくオチが読めてきた」
つまりだ。
アイツはその学校破りの条件に適していたから。
自分から名乗りを挙げて目立とうとしたところ。
あっけなく負けてしまい、その後大和が出て、大和がそいつに勝った。
「……って、ことでいいんだな?」
晴信に確認をとる。
「ああ。その通りだ」
……バカだろ、アイツ。
「えっと……本当に君の名前は、何かな?」
「あの時に聞いてなかったのかよ!小野田だよ!小野田光平!!」
「小野田光平……ああ!森谷に瞬殺された人だね!」
ん……森谷?
森谷ってのは、誰のことだろうか。
「森谷ってのが、学校破りの名前だよ。なんでも、大和の昔馴染みらしいぜ」
大和の昔馴染みか……。
なんでまたソイツは学校破りなんてマネをしたのかね。
……まぁ今は学校破りなんて関係なく、障害物競争の方だったな。
「しかし、毎度毎度のことながら……今年も障害物競争のギミックが凄いな……」
「だな。咄嗟に赤い服の配管工を思い出してしまいそうだぜ」
ふむ、いい例えだ。
つか、障害物競争になると、途端に闘技場の中身がガラリと変わるとか……年に一回の行事に金かけすぎだから。
ではここで、闘技場に所狭しに並べられている障害物について説明しよう。
まずは網……まぁ普通の障害物だよな。
次に……前後に動く床(落ちたら水にドボン)。
三番目にくるのが、歩くとドンドン落ちていく床。
次にめちゃ高い壁(しかも掴む所なし)。
壁を登りきった所で、梯子が横にかかったような感じで置かれているから、それを歩いて渡るのではなく、手を使って渡りきる(つまりはウンテイみたいなやつか?)。
そうしたら、ターザンみたいな紐を使って下に降りて、仕上げになんかいる亀を倒して、ゴールイン。
……なにこの障害物競争?
ある意味で本当の障害物ばかりじゃねえか!
しかも、最初の網なんかもはや申し訳程度に設置しただけじゃねえか!
色んなもんがごちゃごちゃしてるし、統率性がまるでねぇ!
極めつけの、亀!?
どうみてもあれはクッ○じゃね?
「……これが、障害物競争か」
大和、爽やかに言ってるけど怖くないのか?
これはもはや障害物競争じゃない。
この学校で、リアルスーパーマ○オでもする気かよ!
「……面白そうな競技だね」
今面白そうって言ったか?
ありゃあ下手すれば怪我人出るような競技だぞ?
怪我しても知らないぞ?
「……なかなかの精神力だな。けど、この俺がお前をぬ……」
『さぁさぁやって参りました障害物競争!当体育祭で二番目に危険で注目が集まる障害物競争男子の部です!』
「抜かして……」
『今回はマ○オをイメージして作り上げましたこの障害物達を、選手のみなさんは突破することが出来るのでしょうか!?』
「……ぬ」
『それでは選手の皆さん、位置について!』
……小野田涙目だな、これは。
『よ~い……』
パン!
結局、小野田は最後まで言い切ることが出来なかった……小野田、乙。
ともかく、障害物競争の幕は上がった。




