当部活ではこのようなことを行っております
「それじゃあ、今日は優奈ちゃんと刹那ちゃんに、部活でどういうことをやっているのかというのを実戦形式にして見せるね。じゃあ……とりあえず瞬一と晴信、定位置について」
「俺かよ……」
「クラス分け試験の時の恨み、晴らしてやる!!」
闘技場に来た俺達は、何をしたらいいのか分からない二人の為に、とりあえず戦闘をすることとなった。
しかし……選ばれたのが俺と晴信かよ。
普通部長がやるべきだろ、そこは。
「ん?何?」
「いや、何でもない……」
……例え葵が参加したとしても、どうせ対戦相手として俺が選ばれてただろうな。
……くそっ、こんな時に大和が同じ部活じゃないことが悔やまれるとは……。
「それじゃあ定位置について……私達はあそこで見てるね」
そう言って、葵は一之瀬と植野姉妹を連れて遠くに避難する。
俺と晴信は、自然と闘技場のど真ん中で対面する形となった。
「……後悔してもしらねぇぞ。後で怪我したっつっても、聞かないからな」
「怪我しないように、魔術服もってきてるんじゃねぇか」
……久しぶりに魔術服を着たが。
相変わらず、デザイン性より機能性に凝った、地味な服だ。
「それじゃあ今回のルールは……武器の使用を禁ずる、魔術のみでの戦いよ!」
「え?武器を禁ずるとかって……」
「それにルールって、何のことですか?」
葵の突然の言葉に、当然のように優奈と刹那は尋ねてくる。
……これがこの部活の特徴。
普段はサンドバック相手に(もちろん魔術によって作られた特別製)、新しい技とか、苦手な技とかの訓練をしたり、武器のみを出して打ち合ったりしている。
だが、実戦形式の練習をするときは、こうして条件を出して、その条件下でどこまで戦えるかを競うのだ。
もちろん、怪我しないように、魔術服はバッチリ着てきてる。
「この一カ月戦いの連続だったしな……はっきり言ってレベルだけは上がってる気がする」
「そうか……俺だって特訓したんだ。瞬一、今日は絶対に勝つ!!」
「特訓ってメンタル面だけだろ?そんなんで俺に勝とうってのか?」
「あれは言葉の語弊だ!!」
うわっ、そんな言葉でまとめやがった!?
「とりあえず……早く始めなさいよ」
「分かってるよ!」
刹那に急かされた為、俺達は早急に構えをとる。
「それじゃあ行くよ……スタート!」
葵の言葉をきっかけにして、俺達はまず同時に後ろに下がる。
そして、
「聖なる雷よ、我が右手に宿れ」
「すべてのものを焼き尽くせ!」
同時に詠唱する。
そして、
「ライトニング!」
「フレイム!」
俺の右手より、細い雷の光線みたいのが何本も出現し、晴信の手からは、一直線に伸びる炎の線が現れる。
両者は中間地点で激突し、爆発を起こして消えていく。
俺はその時起きた煙を利用して、後ろに下がっていく。
すると、
「デンジャー!」
先ほどまで俺がいた場所より、火の柱が出現する。
もしあの時動かなかったら、これに巻き込まれていたと言うわけだ。
「彼の者に静かなる眠りを……スパーク!」
今度は一直線に伸びる雷の線を出す。
それは、炎の柱の中心を突き抜けて、一直線に飛ぶ。
「うわっと!」
向こうからそんな声が聞こえてきた。
どうやらあっちもうまい具合に避けたようだ。
「あっつい弾を喰らいやがれ……ファイヤボール!」
「あの時と同じ攻めかたは……喰らうはずないだろ!!」
両手に簡易結界を張り巡らせ、飛んでくる火の弾を殴って消す。
……これは一応武器ではないはずだぞ、うん。
「そこだ!インフェルノストーム!」
「な、何!?」
俺がファイヤボールを消したその瞬間。
頭上より何個ものの隕石らしきものが降り注いできた。
……ファイヤボールはオトリだったのか。
「さすがにこれは避けられないだろ!瞬一!」
「……ここまで成長したのは褒めてやるけど」
俺は足に力を込めて、
「……誰がこの攻撃を避けられないって!?」
「……マジ?」
降り注ぐ隕石の中を、全力で駆け抜ける。
ただし、足強化はしてあるので、いつもより少し速めに走っている。
「ハッ!ヨッ!トゥッ!」
落ちてくる隕石を、次々に避け、
「これでしまいだ!!……」
俺は晴信の腹目掛けて、思い切り握り締めた右手拳を。
「喰らえ!サンダーブレイク!!」
「ぐぇっ!」
晴信の鳩尾に入れて、その体には、電撃が流れる。
そして、その場で蹲り、
「こ、降参です……」
「瞬一の勝ち!!」
はぁ……俺の勝ちだ。
少し疲れたべ……。




