夕食が始まるよ
「「「「「「「おお……」」」」」」」
俺達全員は、中の豪華さに、ただ驚くばかりであった。
……ここ、食堂なんだよな?
えらくピカピカした(これは俺から見て)部屋、中央広場でも見たシャンデリア、長いテーブルには料理が所狭しと並んでいる……いや、これだけのテーブルが埋まる程の料理の数って、これは一体何人分用意してるんだよ。
「想像以上の豪華さだね……」
「ああ。俺もまさか、アイミーがここまでの所に住んでる人だとは考えてなかった」
て言うか、考えようともしなかったが正解か。
身分とかは関係ないもんな、友達って奴に。
「お嬢様とレイブン様は少々遅れてくるそうです。ですから、先に始めてしまってもよろしいとのことです」
「……なら、始めるか?」
俺がみんなに尋ねてみた所。
晴信はいつの間にか痛みが消えたのか、笑顔で頷いてきた。
葵も笑顔で首を縦に振り、空は、
「……そうですね」
と、肯定の意を表す言葉を述べた。
「お腹空いたし、早く食べましょ」
と言ったのは、北条だ。
大和も無言で、かつ笑顔を忘れずに頷く。
一之瀬も、
「ですね」
と言ってきた。
「では開始の合図はシュンイチ、お願い出来ますか?」
「え、俺?……まぁいいけどよ」
まさか自分にそんな役目が回ってくるとは思ってなかったので、少し驚きだ。
けど、任された以上、最後までやりきるのが礼儀ってものだろう?
「んじゃ、まずは各自の席に着こうか」
そう言うや否や、俺達は各々の席につくことにした。
人数分しか用意されていないらしく、椅子は9個しかない。
……ん?9個?
俺達7人にアイミーと国王……シュライナーとあの執事の分は?
「我々執事は、皆さま方の食事が終了してから食べるものですから」
「あ、な~るほど。そういう規則的なものがあるわけね」
そう言えば、どこぞの執事漫画でもそんなこと言ってたっけか。
「よし、席に着いたな?」
椅子の配置としては、端っこの方に椅子が一つずつあり、後はテーブルを挟んで、右に四列、左に三列。
俺は右側の端っこの方の席を……半強制的に選ばされた。
なんか、シュライナーがそこに座れと言ってきたからだ。
と言うことは、俺の斜め左隣には、国王かアイミーのどちらかが来るということになるのか。
もしその場所に国王が来たとしたら……緊張しぱなっしだな、俺。
俺の右隣には、笑顔の葵が座っていた。
その横を、晴信・大和という順番で座っている。
俺の向かい側に空が座っていて、そこから一之瀬・北条の順番だ。
「さてま、そろそろ乾杯の音頭を……」
「待った!どうして私がこんな微妙な位置にいるのよ!アンタ、変わりなさいよ!」
「なっ……俺かよ!!」
北条が晴信の方を指差して、そんなことを言ってきた。
……いやいや、それは自分勝手と言うのでは?
「……このままだと埒が明かないから、晴信、場所を変わってやれ」
「……仕方ないな。ほらよ」
渋々晴信は席を譲る。
「……分かればいいのよ」
自己中ですな、これは。
「何か言ったかしら?」
「何も言ってない」
殺されそうな気がしたので、そう言葉を返しておいた。
「……それじゃあ俺から……」
ジュースの入ったグラスを上に掲げて、
「……乾杯!!」
「「「「「乾杯!!「」」」」」」
割りとグダグダにだったが、夕食が始まった。




