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Magicians Circle  作者: ransu521
水の都グレイブスタン王国編
65/309

怪しすぎる男

「うわぁ……」


その光景に、俺達は思わずため息を漏らさずにはいられなかった。

上から見た国の風景は、とても素晴らしいものだった。

国中を流れる水。

それに合わせて作られたかのような建物。

そして、国の中央に建っている、城。

城を中心に、まるで国すべてがあの城の庭なのではないかと思われる程の、綺麗で、壮大かつ、優雅な趣を感じられた。

言葉が出ない光景とは、このことを差すのだろう……。


「すっげぇ……」

「こんな風景を見れた私達は、なんてついてるのでしょう……」


晴信が感嘆し、一之瀬が幸運を感じていた。

……そう言い切ってしまってもいいほど、この風景は綺麗だ。

俺達は、なんて幸運なのだろうか。

こんな風景を見ることが出来るなんて、グレイブスタン公国に来た甲斐があったぜ。


「綺麗だね、北条さん」

「そ、そそ、そう……ですね……(°□°;)」


……なんだこの顔文字は。

何を意味するのか全然理解出来ねえよ。


「……(≧∇≦)」


そしてこの笑顔である。

嬉しいのは分かるが、自重してくれ。

何となく、周りの目もキツイから。

言い忘れていたが、この展望台には、どうやら俺達以外にも人はいるらしい。

まあ、いたとしても今はボチボチとだが。


「こんなに綺麗でいい国なら、ここに住んでもいいかもな……」

「だったら住んじまえよ。そっちの方が、俺達もすっきりするから」

「ちょっと待て!その言い方だと、俺がいらない雰囲気になってないか!?」

「え?必要か?」

「意外そうな顔して聞くな!俺達は中学の時からの友達だろ?」


晴信の発言から始まったこの即興漫才的な何かをし終えた後で、俺はふと横を見た。

するとそこには……。


「だ、誰でしょう?あの人は……」


空が思わずそう俺に尋ねてくる。

大和も、普通通りの顔はしているが、やはり少し気になるようだ。


「こんな所で何してるんだろう?」


葵に至っては、その方向をじっと見て、何やらその人物について分析しようとしている。

見るだけじゃ何も分からないって、普通。

とりあえず、外見を見てみよう。

全身黒のスーツを着用。

望遠鏡が隣にあるのに、何故かそれを使わずに、自前の双眼鏡を使い、城の方を見ていた。

顔は見えないな……黒い帽子も被っているし、見た目は紳士なんだよな。

けど、わざわざ双眼鏡を持ち込んで展望台に来るなんて……一体何がしたいんだこいつは。


「……無茶苦茶怪しいんですけど」


思わず俺はそう呟いてしまっていた。

その時、その男がこっちの方を見てきた。

そして、事もあろうことか、なんと俺達の方に近づいて来るではないか。


「……え?」


やがてその男は、俺の前に立ち止まり、そして一言、こう言った。


「……君は、愛とは何かを知ってるかい?」

「…………………………はい?」


思わず長い間を置かずにはいられなかった。

初対面の人に、『愛とはなんぞや』的な質問された所で、答えようがないだろう。

返答に困っている俺を一瞥して、笑いかけてきて、そのまま立ち去ってしまった。


「な、なんだったんだ……アイツ?」


俺達の間に残されたのは、あの黒い服の男に対する疑問だけだった。

一体何がしたかったんだろうか、アイツは。

と、その時だった。


「皆さん!」

「お……シュライナーだ」


変な男と入れ替わりに、急いでここまで来たのか、肩を上下にさせているシュライナーが入ってきた。


「城内の準備が整いました。今から城の方に案内致します」


どうやら準備が終わったから、ついてきて欲しいとのことだ。


「んじゃ……行くか」

「では、ご案内します」


シュライナーについていき、俺達は城に行くこととなった。

















試験の日時が迫っている為、更新スピードが少し遅くなりますが、ご了承ください……。

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