この山に対する疑惑
二人を置いていった俺達は(あの後俺達に追いつくことはなかった)、俺・大和・佐々木・葵・空・一ノ瀬の六人で山を登り続けていた。
あの後も、ちょくちょく魔物は出現し、その度に逃げたり戦ったりしていた。
「ふぅ……もう疲れたなぁ」
さすがにそんなハードスケジュールでは、みんなの体にも疲労が溜まるに決まっている。
俺だって全身が痛い。
何せ、この山に来てからというものの、休みなしの状態だしな。
「しかし……本当に魔物多いな、ここ」
「ですね……」
俺の呟きに対して、一之瀬が若干息を荒げながら答える。
……にしても、
「……何か変だったね」
「やっぱりお前も思ったか?」
先の言葉を言ったのは、大和だった。
どうやら大和も、ある異変に気付いたらしい。
「何が変なの?別におかしい点なんてないと思うけど……」
「魔物はたくさん出てきたけどな」
「それだよ」
「え?」
佐々木の呟きに対して、俺は思わず口を挟む。
けど、俺が感じた疑問と言うのは、そのことについてなのだ。
「確かに、魔物はこういう所に生息しているし、この山に巣を作っているって言われている」
「けど、それにしたって……魔物が多く出過ぎなんだよ」
一種類、最高でも三種類までは認めるとしても―――いくらなんでも数が多すぎる。
軽く二桁は超える種類の魔物と遭遇した記憶があるぞ。
「確かにそれはおかしいですね……」
空が同意の言葉を述べる。
そして佐々木が、
「野生の動物も生息しているならともかく、この山には魔物の数が圧倒的に多い。まるで……この山に住む生物すべてが魔物みたいだ」
その可能性は否定出来ない。
なら、人類の魔術の使いすぎによって、この山の生物すべてを魔物に変えた?
……いや、いくらなんでも話が出来すぎている。
第一、いくら魔術の影響を受けた存在が魔物だったとしても、ここまで数が増えることは考え難い。
「……もしかしたら、誰かがこの山にいる魔物に対して、何らかの魔術を使用した?それも過度に……」
大和がその可能性を口にする。
俺も、正直それ以外の解答が見当たらない。
けど、誰が何の為にを追及されると、何も言えなくなってしまう。
答えは見つかったけど、それが正しいと言う証明がない。
これではキリがないな。
「……考えるだけ時間の無駄だよ。それよりも、早くソージの葉を探さなくちゃ!」
葵が、思考に走る俺に向かってそう言ってくる。
……そうだな。
今回は、魔物の調査の為に山に登りに来たわけではない。
佐々木の幼馴染みをアンジック病から救い出す為。
それを治す薬の材料でもあるソージの葉を持ち帰る。
これが、今回のミッションだ。
「んじゃ、そろそろ見つかることを信じつつ、山を登り続けるか」
軽く俺が呟いた後、一歩前に進む。
隣には佐々木が、その後ろを、大和達がついていくと言う陣形を取り、俺達は山を登った。
Side真理亜
まったく、どうして私がこのような男と一緒に二人きりで山を登らなくてはならないのよ?
ああ……これが大和君とだったら……ああもう!
想像しただけで興奮してきたわ!(o^∀^o)
「……おい。もう少しオーラを消してくれ。なんだか居心地が悪いから」
「……節介人がいい気分になっていた所を」
「どうせならもう少しまともなことを考えろ!!」
んなっ!?
私と大和君が一緒にいることのどこがまともじゃないとでも……♪
「顔が二ヤけてる。ニヤけてるから!!」
「……はっ?!ゆ、夢だったのね……」
「立ちながら寝てた!?」
いちいちうるさい人ね。
そんなんだから女にモテないのよ。
そう言いかけようとしたその時だった。
『ふむ。君達は、三矢谷瞬一君の連れの者かね?』
「「……え?」」
どこかから声が聞こえた。
けれど、辺りを見回した所で、誰かがいる気配はなかった。
一体、今の声はどこから……。
『ここだよ』
「「え?」」
言われた場所を振り向いてみる。
そこにいたのは……。
祝!本編連載50話!
祝!PVアクセス100000突破!!
祝!ユニークアクセス8000突破!!!
本当にありがとうございます!!
こんな短期間でここまでやれたのは、初めてなものでして……嬉しい限りです。
これからもどうか、「Magicians Circle」の方を、よろしくお願いします。




