早速試験スタート!
『それでは……準備はよいな?』
闘技場中に響く、校長の声。
戦闘場に立つ、四人の男子生徒。
格好は、先程までの学生服姿ではなく、戦闘用の服である、魔術服を着ていた。
互いに、相手の顔を確認する。
三矢谷瞬一と宮澤晴信はこの際置いておくことにしよう。
佐々木啓介は、何やら体格は少し太っているようにも見える。
出っ歯なのが特徴と言えるだろうか?
次いで小野田光平の方はどうかと言うと……これと言った特徴はなさそうだ。
強いて言うなら、釣り目なのが特徴だろうか?
後……一部分が長いことが特徴だろう。
ヒントは、顔の一部分。
「さて晴信……まずはどっちから?」
「面倒だ。二人まとめてぶっ潰そう」
「賛成。ほんじゃ、そろそろスタートか?」
「だな」
瞬一と晴信の二人は、互いの顔を見て、不敵な笑みを浮かべる。
『それでは……』
恐らく、始まりを告げる合図だろうと思われるその言葉を聞いて、準備をする四人。
そして……。
『始め!』
その声と共に、四人はそれぞれ散り散りに動き出す。
そんな中で、瞬一と晴信の二人のみ行動を共にしていた。
「さて……一気に数減らすぞ!」
「ああ!」
二人は、とある人物のの方を見る。
「来たな……俺の名前は佐々木啓介。お前達にはここで負けてもらう!」
「うぜぇ……こりゃ最初に死ぬ奴がよく言うセリフだな」
晴信は、短くそう呟く。
「しゃあねぇな……やるぞ、晴信」
晴信の確認を取らずに、瞬一は短く詠唱をする。
「聖なる雷よ、我の右手にその力を宿せ」
「ほんじゃ、俺も……」
瞬一が詠唱したのを確認すると、
「炎の渦に巻き込まれないようにご注意を……」
およそ詠唱とは思えない言葉を述べ、両手を自らの前に突き出す。
「何ボサッと立ってやがる、そこの男!これでも喰らいやがれ!!」
「失礼な……俺は宮澤晴信だ」
そこに突っ走ってきた―――否、空から飛んできた、小野田光平。
「風の魔術を応用して空に飛んだか……だが、飛ぶ位置間違えたな!!」
光平が飛んできた場所。
そこには、啓介の姿もあった。
「喰らえ!フレイムスパイラル!!」
瞬間。
啓介の周辺に赤い魔法陣が展開される。
「ちっ!」
啓介はとっさの判断で、横に飛ぶ。
だがしかし、空から飛んできてる光平は、避けようがない。
そして、その魔法陣が一旦消えたと思ったら。
「な、何!?」
そこから、炎の渦が出現した。
瞬く間に、その炎の渦は、光平を包み込む。
「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
長い断末魔を残し、本来ならば体などなくなっているだろうと思われる程の炎を目撃して、
「……なんて力だよ、これ」
啓介はそう呟いていた。
「だが……避けちまえばこっちのもんだ!反撃行くぜ!!」
「遅いな」
「なっ!?」
啓介が走りだそうとしたその時に。
その背後には、握りしめた右手拳に、わずかながらの雷が見える、瞬一の姿があった。
「ライトニング!」
握られていた右手を開き、そこから雷撃を出す。
その攻撃を喰らった啓介の体は、
「うがあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
雷撃により、啓介の体がしびれる。
そして、そのまま啓介は気絶した。
ほぼ同時に、炎の渦が消え、そこから現れて来たのは、すでに気絶した状態で倒れている、光平の姿だった。
「さて……俺とお前になったわけだが」
「……ここで決着をつけるとしようや!」
そして、瞬一と晴信の一騎討ちが始まった。
戦闘はまだ続きます。




