いざ大里山へ!
そして次の日。
本日は、晴天なり。
晴れててよかった。
雨降ってたら中止にする所だったからな。
ちなみに、あの後葵に聞いてみたら、どうさら下川先生は明日出張があるらしく、どのみち部活は中止にするつもりだったらしい。
俺達だけで活動することも多々あるが、今日が土曜日というのもあって、とのことだった。
「しかし、早く来すぎたかねぇ」
周りを見る。
ここは東京駅だ。
なので、見渡せばもちろんのこと、人が沢山いるのが見える。
だが、その中に晴信達の姿は見えなかった。
「……おはよう」
「ああ、おはよう」
お、そうしている内に、まずは佐々木が到着したな。
その顔は、真剣そのものだ。
今回の主役はコイツなのだから、無理もないだろう。
しかも、こうしている内にも、佐々木の幼馴染みは……。
「今日が休みでよかった」
「そうだな」
言い忘れていたが、雷山塚高校は、土曜日の授業は毎回あるわけではない。
偶数週は授業がある日。
奇数週は授業がない日という風に分かれているのである。
で、今週は奇数週なので、授業がない日なのだ。
「いよいよだな……」
「ああ。気を抜くんじゃねえぞ」
「分かってるって」
佐々木は、偉く真剣な表情で答える。
流石に、今の佐々木に何かを言う気はなかった。
真面目に人を助けたいと思ってるやつを馬鹿にすることは、決してしてはならないタブーだと自分の心の中で決めていたからだ。
「よっ!」
その時。
反対方向からゾロゾロと、晴信達がやってきた。
みると、晴信・葵・空の三人がいた。
……え、空まで来たの?
「なんか……来てしまいました」
「来てしまいましたって……危ない所だから、家に帰った方が……」
「空なら大丈夫だよ?だって、試験をトップの成績で合格してるんだもん」
そう言えば前にそんな話を聞いたな……。
けどな……う~む。
「まぁ、人が多いに越したことはないからな。ついてきたいって本人からの要望なわけだし、つれていくことにすっか」
「ありがとうございます」
ペコリと、空はお辞儀をする。
「けどな……空に、いや、みんなに言っておくけど、無茶だけはするなよな」
「「お前(瞬一)が言うな(言わない)!」」
晴信と葵の二人が、声を揃えて言ってきた。
いやはや、耳が痛いなぁ……。
「みんな……遅くなってゴメンね」
そこに、爽やかな顔をしてやってきたのは、大和だ。
と言っても、ここまで走って来たのかは知らないが、若干息が上がっていた。
「いや、俺達が早く来すぎただけだ。気にする……な!?」
「ど、どうしたの?瞬一」
大和の方を見ながら会話していると、俺はあることに気付いてしまった。
それは……。
「……北条、そんな所で隠れて悶絶してないで、とっととこっちに来い」
「(≧ε≦)……は!?私は一体なにを……」
もうコイツ、置いていっていいかな?
なんか、北条からヤバい匂いしか漂ってこないんだけど。
「と言うわけで、北条と晴信はどっか行け」
「って、俺もかよ!?」
「ああ。北条は危険だから。そして晴信はウザイから」
「理由になってねえよ!!」
晴信が抗議するが、ガン無視。
「そうやって適当な理由をつけて、私と大和君との仲を裂くつもりね!そうはいかないわよ……!!」
「もうお前は黙っててくれ」
数分前のシリアスは光景は何処に消えてしまったのやら。
いつの間にか、いつもの俺達の空気になっていた。
……佐々木が追い付いてないけど。
「……先、行っててもいいかな?」
「……行こうぜ」
「うん」
「はい」
「だね」
何やら騒ぎっぱなしの二人を置いて、俺達はとっとと先に行くことにした。
「お、おい!俺を置いてくなっての!」
「ま、待ちなさい!!」
後から二人も追いかけてきた。
ともかく、ソージの葉捜索の旅に出ることとなった。
それにしても、このメンバーで本当に大丈夫かね……不安になってきた。
大里山という山は、実際には存在しません。
あらかじめご了承ください。




