アンジック病について
佐々木から発せられた一言。
それは、アンジック病を治す方法というのを知らないか、というものであった。
だが、生憎俺には、その知識がなかった。
教科書に載っていないような単語を言われた所で、困るしかなかった。
「……悪いな。俺は、その病気自体を知ったのだってつい最近の話だ。ましてや治療方法なんて知ってるわけがない」
「……そうか」
残念そうな顔をする佐々木。
しかし……アンジック病か。
一体何が原因でそんな病気にかかってしまうのだろうか。
諸悪の根源すら見つからないような状態では、対処しようがないのが事実だ。
「……何かいい手はないものか」
「う~ん……」
俺と佐々木は考える。
俺達が出来ることはあるのか。
そして、それはどのようなことなのか。
「病気の話に詳しい人と言えば……」
それらのことに詳しい人間。
それは医者―――いやいや、流石に学校に医者はいない。
それは専門家―――いやいや、この学校にその病気だけを取り扱っているやつはいない。
学校内にいて、様々な病気について知ってるような人……あっ!
「「吉沢先生だ!!」」
俺と佐々木の声が重なる。
そうか、医務室にいる保険医の人だ。
つまり、吉沢先生に聞けば何か分かるかもしれない!
「そうと決まれば早速吉沢先生の所に行くぞ!」
「ああ!」
吉沢先生は、ついさっきまで学級委員の顧問的な役割をしてたんだ。
つまり、会議室に行けば吉沢先生に会えるということだ。
「吉沢先生なら何か知ってるかもしれない」
その期待を胸に秘めて、俺と佐々木は会議室へ向かった。
「あら?この部屋に何か忘れ物かしら?」
案の定、そこには吉沢先生がいた。
……何故か北条がセットで。
「何でお前まで一緒にいるんだよ……」
「そりゃあもちろん……あんたに制裁を与えに来たのよ」
「だったら、教室を探すとか、外を探してみるとかの行動は起こさないのかよ」
「あんたのカバンがそこにあったもの……待ってれば必ず来ると思ってたわ( ̄∀ ̄)」
……もう突っ込まないぞ。
こいつは、感情を出すときに顔文字を出す癖があるってことで納得してやる。
つか、多分そういう性格してるんだと思う。
「ほら、何とか言ったらどうなのよ?」
「んじゃ……今から大切な話をするから、とっととこの部屋から出てけ」
「はぁ?何で私がそんなことを……」
「いいのか?大和のことをたくさん教えてやっても……」
「喜んでこの部屋から退出致します!」
慌てて北条は会議室より退出する。
行動早いな……。
「……そこまでやるか、北条真理亜」
退出する寸前にも顔文字で嬉しさを表現していたような気がしたが、そこはスルーしておこう。
「……それで、話って何かしら?」
「話というのはですね……」
俺は佐々木の話をまとめて話す。
時には佐々木が補足しながら、話す。
「そういうことだったのね……」
話し終えた後、吉沢先生はこのような反応をとった。
「それで……治す方法とかないんですか?」
佐々木が吉沢先生に尋ねる。
すると、吉沢先生は少し悩む素振りを見せて、言った。
「う~ん、結論から言うと、あるわよ」




