相手はお前かよ……
「さて、本日のクラス分け試験、高校二年生の部なのだが……」
校長が何やら檀上に立ち、何かを話している。
それにしても……長い。
何しろ、高校一年生内心組が先にクラス分け試験をやっていたものだから、俺達が試験をやる時間が
どんどん押されていくの何の……。
「いいから試験始めろってんだ……」
そら見ろ。
誰かがそんなことを口走り始めたぞ。
「む?誰だね?今そんなことを口走ったのは?」
……え?
聞こえてたのか?
今の声、近くにいた奴にしか聞こえない程小さな声で呟いていたような気がするんだが……。
「……」
答える者は、誰もいない。
そりゃそうだろ……何か、校長の顔が、狩人の目になってんぞ。
あの目で睨まれた日には、最後にどんな光景を見ることになるのやら……。
「まぁよい。続きを話そう」
ふぅ……一難去ったな。
とりあえず、ここからは校長の話を要約した形で説明しよう。
戦闘は、ランダムに選出された四人一組の、バトルロワイヤル形式だ。
例えば……俺と晴信と、後誰か二人が選ばれたとして、その四人で戦闘を行うということだ。
最も、勝ち負けはそこまで関係なかったりする。
一応、一位になった奴は、本結果よりも+1されたクラスに入ることが出来るって特典がつく。
簡単に言ってしまえば、A組に合格したとしたら、自動的にS組に入れるってことだ。
自分で言うのも難だが、このシステムは相当理不尽なシステムだと思う。
一位になれた奴……最も、このバトルロワイヤルで一位になった奴ってのは、本試験だけでS組に入れる可能性が高いけどな。
魔術服を用意しろと言われたのは、このクラス分け試験の為なのだ。
では、魔術服とは何なのか?
このクラス分け試験では、当然のように魔術が使われる。
なので、普通の服を着ていては、もちろん大怪我間違いなしの魔術だって登場するわけだ。
そこで、そんな魔術から身を守る為に、高校側は特別に、簡易結界を張った服を用意した。
それがこの、魔術服なのだ。
ちなみに、この服があったとしても、攻撃を喰らった所はしびれるし、強大な攻撃を喰らえば、失神すること間違いなしだ。
結構危険が伴うクラス分け試験ってわけだ……最も、勝利条件としては、相手を倒したら勝ちっていうなかなかにシビアな条件であるのだが。
「では長話はこれくらいにして、そろそろ試験の方を始めるとするか」
余談だが、この服があれば、戦闘で消費した魔力を、ある程度回復させることも可能だったりする。
「それではまずは……三矢谷瞬一・宮澤晴信・佐々木啓介・小野田光平の四人、前に出なさい」
「早速俺かよ!てか、晴信も!?」
いきなり晴信と当たることになるとはな……これはなかなかに苦労する戦いになるかもしれないな。
てか、多分俺と晴信なら……。
「と言うわけで瞬一君。邪魔な二人を倒す為に、とりあえず協力しないかい?」
やはりな。
俺だって、一人で三人をまとめて相手するよりも、とりあえず協力して二人を倒してから一対一に持ち込んだ方が効果的だと思うからな。
「そうと決まれば……」
「だな」
互いの腕を組み、とりあえずの休戦協定は結んでおいた。
……てか、一年の時はみんな知らない奴だったから一人でぶっ飛ばしたけど、共闘って、ありなのか?
「ちなみに、共闘等は認めることとする。その場合には、その戦闘内容も採点基準とする」
なるほど……そういうシステムってことか。
ま、俺と晴信は中学からの付き合いってわけだから、互いにどんな戦い方をすればいいのか分かってるつもりではいる。
「それでは今名前を呼ばれた者以外は観客席に移動。四人はその場に残るように!」
闘技場って言う程だから、全校生徒が全員入れる……いや、それ以上の規模の人数が入れるような場所だ。
全く、校舎といい、闘技場といい……金かけすぎなんだよ。
「それでは……解散!」
ああ……長い一日が始まる予感。
次回、初めての戦闘シーンに参ります。
つまり、三人称形式に変わります。




