数ヶ月後の雷山塚高等学校
……数ヶ月後。
季節も秋から冬に移り変わり、外は雪が降っている始末。
1月になり、いよいよ冬の寒さも本番になりつつあった。
そんな中、今日俺達は……。
「ハッ!」
「セィッ!」
ガキン!
……ことの顛末を説明しよう。
最近俺達魔術格闘部は、あまり活動することがなかった。
理由は……追々話していくことにしよう。
そんな俺達に……大和達剣術部が、合同練習を申し込んできたのだ。
もちろん俺達は快諾し……今はちょっとした団体戦をやっているところなのだ。
メンバーは、相手チームが、大和・大地・北条・その他二名で構成されているチーム。
対してこっちは、俺・晴信・織・刹那・春香の五人チーム。
今は晴信と北条が戦っているところだったかな。
俺はさっき大和と戦って……ことごとく打ちのめされた。
流石に剣だけだと、大和に勝てるわけがない。
今回の戦いが、せめて何でもありの戦闘だったらな……。
もちろん、他の奴らだって、剣術部に所属しているために、その実力は本物だった。
それでも俺達は互角に戦い合い、後は晴信の勝敗次第ということになったのだ。
だが、そんな晴信は……押されていた。
「ほらほらほらほら!どうしたのかしら?いつもの余裕の表情はどこに消えたのかしら?」
「くっ!……剣の腕は北条の方が上ってことかよ!!」
このままの調子でいけば、もうすぐ晴信は負けるだろう。
……あ、喉元に刃先を突き付けられてる。
すなわち……晴信の負け、か。
「やった!勝ったわ!勝ったわよ、大和君!(≧∇≦)」
「見事だったよ……真理亜」
「キャアアア!大和君に褒められちゃった(o^∀^o)」
……久々に見たな、北条の顔文字感情表現方法。
最近見ないなと思ったら……こんな時に表れたか。
「……強かった。正直、ここまで強いとは考えてなかったぜ……」
「心配すんな、晴信。実は俺もだ」
確かに、いつもの北条の調子から、これほどまでの強さが秘められているなんて誰が想像出来ようか……否、出来るわけがないだろう。
それだけ、北条は隠していたということになるな。
……いや、敵に回したことがないからと言ってしまえばそれまでなのだが。
「いやぁ……いい試合になったよ」
「ああ……こちらこそ」
ガッ!
俺と大和は右手を差し出し、握手を交わす。
そんな中で、
「晴信先輩……その、凄く格好よかったわよ」
「そうか?結局アイツに負けちまったからな……」
「確かに戦いには負けたけど……それでも、格好よかったわ」
「……そうかい、ありがとよ、刹那」
「!!……べ、別にだからと言って惚れたわけじゃないんだからね!ただ、戦ってる姿がちょっと格好いいなって思っただけなんだからね!」
……もう付き合っちまえよ、お前達。
きっとみんなが祝福してくれるぞ。
「……瞬一先輩、今何か変なことを考えてなかった?」
「いや、至って真面目にお前らの将来について考えていたけど?」
「!!……証拠隠滅!」
「させるか!晴信バリア!!」
「うぉ、なんだ!?」
刹那が俺に攻撃してこようとしてきたので、咄嗟の判断で、俺は晴信を壁にする。
……すると刹那は、とたんに悔しそうな表情を浮かべ、
「……覚えておきなさい!瞬一先輩!!」
と、捨て台詞を残したのだった。
「さて……そろそろ引き上げ時だろう。雪もいよいよ本降りになってきそうだし、早めに帰ろう!」
「そうですね。ですから瞬一先輩、私達も早く……って、どうしたんですか?」
優菜が、俺の顔を覗き込み、そんなことを尋ねてきた。
……俺は、そんな優菜に向かって答える。
「俺はもちっとここにいるからよ……お前らだけで先に帰っててくれ」
「え、でも……分かりました」
どうやら分かってくれたらしい。
大和達は、既に引き上げ始めていたところだ。
晴信達も、遅れないように後からついていく。
そうして、その場に残ったのは……俺一人となった。
次回、『Magicians Circle』の本編の方も最終回を迎えます。




