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Magicians Circle  作者: ransu521
Last episode4 光の器、闇の暴走
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Last episode 41

「アナタナンカニ、ワタシノナニガワカルトイウノデスカ!?ロクニコドクヲケイケンシタコトノナイニンゲンガ、ワタシノコトヲリカイシタヨウナキニナルナ!」


突き、突き、突き、突く。

由良は、怒りに任せて己の剣を大和目掛けて突き刺しにかかる。

だが、それでも……怒りに任せた剣を避けることは、大和にとって容易いことでもあった。

迫り来る剣を避け、避けきれない時には自らの剣をぶつけて方向を無理矢理変える。

それでも無理な時は……風魔術を使って逆に攻撃をする。

すると由良は、大和に攻撃することを一旦止めて、その攻撃を防ぎにかかる。

……だが、その一瞬こそ、大和が待ち望んでいた瞬間であった。


「ハァッ!」

「クッ……!」


剣を以て、大和は喉元を確実に捕らえようとする。

だが……後数cmというところで、その攻撃はまんまと防がれてしまった。

由良が、結界を張ったのだ。


「……僕は、君の言う『孤独』という言葉を理解出来る。だから、君のその気持ちは分かっているつもりだ」

「ダマレ!アナタナンカニ、ワタシノヨウナコドクナンテワカルハズガナイジャナイデスカ!」


大和は気付く。

敬語混じりの話し方になっているのは……暴走を止められるかもしれないチャンスだということに。


「……僕もかつて、『孤独』というものを経験したことがある」

「……エ?」

「両親を殺され、僕の周りに頼るべき人物がいなくなってしまった……そんな時が、僕にもあったんだよ。ちょうど、今の君のようにね」

「……」


由良は何も答えない。

ただ無言で、剣を大和に向かって突く。

大和は、そんな由良に対して、説得を試みた。


「その時こそ、僕は世界を恨んださ……『孤独』に陥れるような世界なんて、僕にはいらない。こんな世界なんか、滅んでしまえ、とね。けど……そんな時に僕は、友達がいた」

「……」

「友達がいたから、僕は何とか思いとどまった……一度は世界を壊そうなんて思ったりしたけど、結局僕には、この世界が必要だったんだよ……何せ、僕の場合は当たる相手がいたからね。そのことに関しては本当に申し訳ないと思っている……」

「……ドンナコトヲイオウトモ、ケッキョクオマエラガアノカタヲコロシタノハジジツ。イクラキレイゴトヲナラベタトコロデワタシガユルストデモホンキデオモッテイルノデスカ?」

「許してほしいなんて言ってない……僕がやったことは、間違いなく君に悲しい心を植え付けてしまったというのもまた事実だと思っている。だから僕は……罪滅ぼしに、いや、そんなのは関係ない」


大和はそう前置きを置く。

そして、続く言葉を言い放った。


「僕は……その責任として、君の居場所になろうと思う」

「……エ?」


動きが止まった。

今の一言は、由良の心を少し揺さぶったのだ。

大和は、核心をついたと考え、さらに付け加える。


「『孤独』であることはとても悲しいことだ。復讐の連鎖を生み、その人を悲しみの渦の中へと誘って行く……そんな君を、僕は救いたいんだ」

「ウソデス……そんなコトバはウソデス!!」

「嘘なんかじゃない!僕は君と……君と友達になりたいんだ。悲しみの渦に囚われた君を、僕は救いたいんだ!!」

「ダマレ!虚言ナンカデワタシハダマサレマセンヨ!!」

「虚言なんかじゃない。僕は本気で言ってるんだ。君のことを分かってあげられるかどうかは分からないけど……僕は君の居場所になりたいんだ。僕は君の前から勝手にいなくなったりしないし、君を消すつもりもない……だから、だから僕と一緒に、この世界に住んでみないか?」

「……」


黙り込んでしまう。

由良は、正直なところ迷っていたのだ。

自分はどう答えるべきなのか。

この手を取るべきなのか。

突き離すべきなのか。

分からなかったのだ。


「わ、ワタシハ……」


そして由良は、一つの答えを導き出した。













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