表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Circle  作者: ransu521
Last episode3 由雪迅
275/309

Last episode 17

「ほう……由雪迅とな。いつぞやのあの娘の友人か」


スクリプターが、若干興味があるかのように由雪に対して言う。

そして由雪は、今のスクリプターの言葉によって確信したのだった。


「やはりお前が……アイツのことを―――!!」

「私は殺してはおらん。殺したのは、正真正銘源三郎本人だ……恨むべき人物を間違えておるのではないか?」


確かにスクリプターの言う通りだった。

彼自身は、寺内真美に対して直接的に天誅を加えたわけではない。

しかし、由雪は言い放つ。


「いや、寺内を殺したのは間違いなくお前だ、スクリプター!光の器(てんし)の力を勝手に暴走させて、寺内の自我を奪って……『組織』の連中に、殺させた」


由雪の表情は、明らかに憎悪に包まれていた。

許してやるという考えはそこにはない……何かのタイミングさえあれば、今にでも殺しにかかるような、そんな姿勢だった。

だがスクリプターは、そんな由雪に怯えることはなく、むしろ愉快そうに笑った後で、こう告げた。


「その表情は実に結構……私はこの人生の中で、幾度も人間達のそのような姿を見てきた」


言葉はそこで区切られる。

由雪は、一瞬だけ訪れた静寂の時間に、スクリプターに斬りかかろうかとも考えたが、


「……だが君は、知らないことが多すぎるのではないのかね?」


ピタリ。

足の動きが止まった。

体がリモコンによって停止ボタンが押されたかのように動かない。

そして何より、由雪の体を動かすリモコンは、確かにスクリプターが握っていた。


「……どういうことだよ。まだ俺が知らない事実ってのがあるとでも言うのか?」


殺気を収めることなく、鎌を握る手の力を抑えることもなく、由雪はスクリプターを睨み付けながら言った。


「……ふむ、その通りだ。君が私とこの場で対峙するにあたって知らなければならぬことは三つだ」


右手の指を三本立て、スクリプターは由雪に言う。

そんなスクリプターの仕草が気に入らなかったのか、由雪は今にでもスクリプターに斬りかかりたいと思っていた。

だが、未だにスクリプターが再生ボタンを押さない為に、その場から動き出すことなど出来るはずもなかった。

むしろ、一時停止ボタンが押されている中で、スクリプターに話しかけることが出来るという時点で十分に凄いことだと言えよう。

それは称賛に値することかもしれない。


「まずは第一点……君は光の器(てんし)の意味を知っているかね?」

光の器(てんし)の意味?いや、知らないが……」


闇魔術を習得するために悪魔と契約した身の由雪だ。

当然そのことに関して彼が知っている知識など、皆無に等しい……いや、まさしく皆無だったのだ。


「そうか……君は光の器(てんし)なんてものが何故この世に存在するのかを知らぬというのか……ならばまずはその説明から始めねばならぬな」

「……」


由雪は黙ってその先の言葉を待つ。

スクリプターは、そんな様子の由雪に、言った。


光の器(てんし)というのは、神がこの世に誕生させた……言わば世界を造り変えることが出来る唯一絶対の存在だ」

「世界を……造り変えることが出来る、唯一絶対の存在?」

「左様。悪魔なんかよりもその力は強く……絶大だ。発せられる光は、すべてを造り変えることが出来る程の力を持つのだ……ただし、完璧にその力を覚醒させない限りは、その光はかなり微弱なものとなる。また、その力をコントロール出来た時は……この世を良い方向にしか持っていくことはない。だが、大抵の光の器(てんし)は、途中でその力に耐え切れず……暴走する。一番手っ取り早い方法としては……強大なる闇魔術をかけてやることだな」


由雪は、その言葉を聞いて……驚きの色に染まって行った。
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ