表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Circle  作者: ransu521
Last episode2 過去
269/309

Last episode 11

メルゼフの暴走事件から、数日が経過した。

この日の天気は生憎の雨。

よって、外による部活は中止という決定が下された。


「あ~あ、今日は部活中止かよ」


瞬一の横に並ぶ晴信が、思わずそんなことを口にしていた。


「仕方ないだろう、こんなに雨降ってるんだから」


傘を片手に持ち、瞬一がそう答える。

歩く度に、雨が地面を叩く音が聞こえる。

時に水たまりに落ちて、チャポンという音も奏でてくれる。


「それにしても……見事な雨だね」

「珍しいですよね。大雨なんて」


葵と春香も、思わずそんなことを口にしてしまう。


「ねぇねぇ、折角部活も中止になったことだし、どこかの喫茶店で話でもしない?」


そう言ってきたのは、織だった。


「お?いいアイデアじゃねえか」

「俺は賛成だぜ!このまま家に帰るのも何だか納得いかなかった所だしな!」

「私も!」

「私もです」


全員に反論はないようだった。

もちろん、俺含めてだが。


「それじゃあ……あそこに行ってみようよ」


そう言って織が指さした所は、何処か落ち着いた雰囲気を出す喫茶店だった。

雨の日で時間がこんな微妙な時というのも手伝って、中に人があまりいないようにも見える。

何故瞬一達にこのようなことが分かるのかと言えば、その喫茶店がガラス張りとなっているからだ。


「うわぁ……見事に空席だらけだ」

「いつもならここから見える店内は、満員の状態とかなんだろうなぁ」


瞬一達も、そこから店の中を覗いていた。

中にいる人は、右手で数えられる程にしかいない。


「……ちょうどいい。ここにしよう」

「雨も強くなるだけだしね……入っちゃおうよ」


瞬一と葵が、そう提案する。

もちろん彼らに反対意見などなかったので、その喫茶店の中に入ることとなった。


「いらっしゃいませ……何名様でしょうか?」

「えっと……五名で」

「畏まりました。こちらのお席へどうぞ」


ウエイトレスの女性が、瞬一達を席へと誘導する。

そして席に座った瞬一達は、テーブルの上に置かれているメニューへと目を移した。


「とりあえず俺はコーヒーにしておくか……」

「俺は紅茶だな」

「お?晴信でも紅茶は飲めるのか?」

「……お前、俺のことなめてるだろ」

「いや、けなしている」

「どっちも同じじゃねえか!」


瞬一と晴信による軽い漫才が済んだ後、


「私はこれにしようかな……」

「ボクはこれ!」


葵と織は、同じものを頼んでいた。

その品とは……。


「おおう……チョコレートパフェ」

「しかも割とでかいし高い……」


メニューに書かれている値段を見て、瞬一と晴信は愕然とする。

対して織と葵は、平然とした顔でその品にすることを決めた。

春香の注文も決定したところで、瞬一は店員を呼ぶ。


「それでは、ご注文をどうぞ」


瞬一は店員に全員分の品を告げる。

そののちに、店員は、


「畏まりました。しばらくお待ちください」


営業スマイルと共に、店員はそう告げる。

そして注文品を書いた紙を持ち、店の奥へと引っ込んで行った。


「……なぁ織、ちょうどこんな日だったよな」

「え?いきなり何を言い出すの?瞬一君」


瞬一は、窓から外を眺めながら、突然そんなことを呟く。


「俺達が別れた日のことだよ……あの日もこんな大雨だったよな」

「……そうだね。そして、別れるきっかけとなった事件が起きた日も、大雨だった」

「何だ?お前らが別れるきっかけとなった事件だと?」

「その話……詳しく聞かせてくれませんか?」

「ちょうどいいからね。こうしてみんなで集まったわけだし、お話がてら聞こうよ」


瞬一と織を除く全員が、そのことについて知りたい様子だった。

瞬一は、ホゥと溜め息をついた後で、


「分かったよ。今から話す」


そして瞬一は、ゆっくりと、その時のことを話し始めたのだった。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ