Last episode 06
「せいっ!」
刀を持ち、瞬一はメルゼフに突っ込む。
だが、メルゼフは避けようとしない。
その場に立ったまま、何も動こうとはしない。
「!?……ハァッ!」
一瞬動きが止まりかけたが、瞬一はメルゼフの心臓目掛けて突っ込んでいく。
そして、ようやっとメルゼフが動いた。
「コロス……コロス!」
「な、何だと?!」
一旦その場にしゃがんだかと思うと、なんとその場から上空へ飛んだのだ。
そして、そのまま落下することなく……その場に留まっていた。
「う、浮いている……?」
「は、羽だ!いつの間にか羽が生えてやがる!!」
大地が、メルゼフのことを指差しながら言う。
そう、メルゼフの背中には……黒い羽が生えていた。
そしてその手には、悪魔と呼ぶに相応しい、禍々しい形をした鎌が握られてた。
「武器勝負なら、私達だって勝ち目があるかも!」
「葵!お前は精霊を召喚してアシストを!織と大和と大地は、俺と同じく接近戦を!春香と真理亜とアイミーは遠距離からのアシストに回ってくれ!シュライナーはさっきまでの戦いで疲労しているだろうから、一旦休憩に入ってろ!」
「た、助かる……」
瞬一の言葉に、みなは頷き、その通りに行動する。
瞬一・織・大地・大和の四人は、メルゼフの周りを取り囲むように移動する。
春香・真理亜・葵・アイミーンの四人は遠くに一旦避難し、そこで魔術の詠唱を行う。
シュライナーは、一旦戦線からはずれ、体力を回復させるのに専念することにした。
「これでも、喰らいやがれ!」
風魔術を使い強い風を起こし、瞬一はその風に乗り15度の角度でメルゼフに突撃する。
メルゼフは、特に目を向けることもなく、単に目の前に結界を発動させただけで、瞬一の刀をはじいた。
「後ろががら空きだ―――!!」
「!?」
その動作を行ったことで出来た一瞬の隙をつくために、大地が剣を大きく振りかぶる。
その攻撃は通るかと思われたが、
「……え?」
あっさりと、メルゼフに避けられる。
同時に、メルゼフは右腕を思い切り振りかぶり、大地の腹部目掛けて思い切りぶん殴る。
「ガハッ!」
「森谷!」
大和は大地の心配をしつつ、剣を使って的確にメルゼフのことを刺しにかかる。
メルゼフは、これも右腕で払いのけようとしたが、
「どこを見ているんだい?」
「!!」
瞬間移動したようにも見えた。
大和は、それほどにも早い動きをして、メルゼフの背後に回りこんだのだ。
「せいっ!」
「ちっ!」
ガキン!
メルゼフは、初めて手に持つ鎌を利用する。
そこから、しばらくの間大和とメルゼフの小競り合いが始まる。
「おっと、こっちの方も忘れないで欲しいな!!」
ドン!
魔力を強く込めて、瞬一は作り出した銃を撃つ。
それはメルゼフの肩をかすり、どこかへ飛んでいく。
「それは大地のうめき声。大地に眠りし命よ、今ここに目覚めよ!」
春香の詠唱によって、地面より無数の枝みたいなのが浮き出てくる。
そしてそれらは、まるで鞭のようにメルゼフに襲い掛かってきた。
「!メッセヨ……!!」
そうメルゼフが呟いた瞬間だった。
その枝に、勢いよく火が燃え移り、跡形もなく燃え去ったのだった。
「……はぁっ!」
「フッ!」
そうしている内に、大和はメルゼフから距離をとる。
メルゼフは、そんな大和に対して黒い弾を撃つ。
剣でそれらを斬り、大和は一旦体制を取り直す。
「だ、大丈夫ですか?森谷君?」
そうしている内に、春香は大地の所に行き、大地と共に安全な場所まで避難する。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「何て元気な奴なんだよ……今苦しみから解放してやっから、ちっとばっかし待ってろ!」
瞬一達は、止まっていた体を動かし、再びメルゼフへと突っ込んで行った。




