交戦
「な、何だ!?」
突然の爆発音に、俺達は思わず辺りを見回してしまった。
一体どこからなんだ……あっ!
「あんな所で爆発が起き……」
間違いなく俺達は、爆発したところを見ている。
しかし、そこを見ると……。
「……なんでだよ」
「何で魔物がこの会場に現れてくるんだよ!!」
啓介が動揺して叫び出す。
……そう、魔物がこの会場に出現したのだ。
しかも一体だけじゃない……何体も引き連れてだ。
「まずい……これだけの魔物がこの中で暴れまわったら、会場が大パニックになっちまう!!」
「けど、これはむしろチャンスよ!この中には魔術を扱う人達がたくさんいる、ということは、すぐに魔物を追い払えるということにも繋がるわ!」
小山先輩の言うとおりだ。
ここは全国高校対抗魔術格闘大会の会場なのだ。
魔術を扱うことに関してはある程度精通している奴らしかいないはずだ。
すなわち、戦えば俺達に勝機はあるということだ。
「よっしゃ!……魔物を追い払うため、俺達も戦うぞ!」
「「「おう!」」」
「ええ!」
晴信達が返事を返す。
……他の奴らの様子を見てみると、あまりに唐突すぎる魔物の登場に、一瞬行動が遅れてしまった者もいれば、速攻で逃げだした奴もいる。
交戦している奴もいるところから、必ずしも心が弱い奴らばかりではないということだ。
そりゃそうだろうな……さっきまで戦ってたのに、弱いってことはないだろう。
「雷を纏いし我が剣よ。その姿を具現して我が武器となれ!!」
他の魔術を詠唱するわけにもいかないので、刀で何とか相手に対抗することに決めた。
晴信も、手に持っているのは銃だった。
こんなところでファイアボールとか使ったら、会場が火事になってしまう。
魔術による格闘が行われる戦闘スペースとは違い、魔物のほとんどが集結している、ここ、観客席は、特別魔術結界が張られているわけではない。
すなわち、魔術による攻撃が外れた場合、最悪会場が崩壊する危険性もあるわけだ。
それだけに……あまり無茶な攻撃をすることが出来ない。
「そらよ!この銃から発せられる熱い弾を喰らいやがれ!」
ドンドンドンドン!
晴信は敵に向かってどんどん銃を乱射する。
啓介も、何やら斧らしきものを出して、
「はぁっ!」
ザシュッ!
……凄い。
あれだけでかい斧を、軽々と(?)持っていられるなんて。
「こっちも忘れるんじゃねえよ!」
小野田は剣を出していて、それを振り回している。
その剣は、何体か敵を斬り伏せていってるが、
「……危ない!」
「!?」
ガッ!
小野田の背後より襲いかかってきた魔物の攻撃を、俺は刀で受け止める。
ちっ……なんて鋭い爪なんだ!
「こんの……野郎!!」
全身に力を込めて、俺は魔物を突き飛ばす。
そして、
「消えろ!」
魔物の真上から垂直に刀を振り下ろす。
……確かな手応えがあった。
目の前にいた魔物は、真っ二つに割れて粒子となっていった。
「コイツら……召喚されたタイプの魔物か」
魔物には二つのタイプが存在する。
一つが、暴走してしまった普通の動物。
そしてもう一方が、誰かに召喚されたタイプの魔物だ。
「な、なんなのコイツら……倒しても倒しても、数が全然減らないわ!」
「何処かに魔物の親玉がいるはずだ!瞬一!探して来てくれ!」
銃を乱射しながら、晴信が俺にそう言う。
このタイプの魔物を倒すのには、その魔物を呼び出した本人を倒すか、魔物の親玉を倒すかの二つある。
この場合だと……親玉を倒す方が確実だろう。
……よし。
「分かった!探してくる!」
俺は観客席から離れて、中へと捜索しに行った。




