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Magicians Circle  作者: ransu521
魔術格闘大会編
247/309

謎の爆発音

俺は葵達が下に降りていった後で、戦闘スペースの方をマジマジと眺める。

仕切りなどどこにもなく、あるのは平坦なる白い床。

この床は、決勝戦の戦いが始まった時に岩などのギミックが現れてくるから、決して平坦なままではない。

むしろ戦いが始まった時には優位に動くこともあれば、不利となることも十分にあり得るだろう。


「んで、葵達は勝てると思ってるのか?」


晴信が俺にそう尋ねてくる。

……けど、晴信の表情はどこか笑顔であった。

コイツ、俺がどんなことを考えているのか分かってて聞いてやがるな?


「当たり前だろ……アイツらなら勝てる。下手したら俺達よりも強い奴らばかりだしな」

「……そうかよ。瞬一が言うなら、本当のことなんだろうよ」


不敵な笑みと共に、晴信はそう告げる。

……コイツのこんな笑顔を見たのは、これで何回目だろうか?

……まぁ、今はそんなことは関係ない。

とにかく、葵達の戦いを見逃さないようにするのみだ。

アイツらの晴れ姿を見ないで、部員としてどうする。


『では両校共に、一番手、前へ!』


実況席からそのような言葉が聞こえてくる。

……いよいよ試合が始まるのか。

何だか見てる俺達まで緊張してくるぜ。


「一番手は多分優菜だな」

「ん?そうなのか?」

「ああ。今までの戦いでも、そうだったからな」


なるほどな……と、ここでこの大会の団体戦について説明しておこう。

両校とも五人で戦うのは、恐らく前に述べたことだろう。

だけど、剣道とかとは違い、勝ったらそのまま残るというような形式ではない。

一番手の試合が終わったら、次は二番手が出陣するという形式だ。

すなわち、全員が試合に参加するということだ。

何でも、公平さを追究した結果だそうだ。


「……私の番ね」

「お願いね、刹那ちゃん」

「任せなさいよ、部長」


何やら刹那達が話をしている。

この距離だから、刹那達が何を話しているのかまでは聞こえない。


「……え?」


両校の一番手がそれぞれ前に出る。

同時に、一面真っ白だった床は、ゴツゴツした岩肌に姿を変えていた。

だが、驚いたのはそこじゃない。


「一番手が……刹那?」


何と、葵達は敢えて一番手を刹那に変えてきたのだ。

これには相手も少し驚きを隠せないでいる……恐らくはこれまでずっと一番手が優菜だったから、優菜対策を敷いてきたというところなのだろう。

ところが予測は外れてしまい、ただ呆然と立ち尽くすのみとなってしまったというのがオチだろう。


「やるな……葵」


さすがは一年の時からS組にいるだけのことはある。

頭の回転も並じゃない。


「まさかこんな作戦を仕掛けてくるなんてな……俺達もびっくりだぜ」

「観客席で作戦を話ちまうと、情報が洩れる危険性があるからな……そのことも考えてこういう形式をとったんだろうな」


敵を欺くには味方から。

そんな諺通り、見事に俺達は葵に騙されたというわけだ。


「……これは試合が分からなくなってきたぞ」


何だかワクワクしてきたぜ。

この試合の行方が、真剣に気になって仕方がない。


「楽しそうだな、瞬一」


不思議と笑顔が溢れていたため、啓介にそう尋ねられた。

俺は答える。


「まぁな。今の俺は、なんだか無性にワクワクしててな」

「……気持ちは分からなくもないな。俺もそうだからな」


どうやら啓介も俺と同じことを考えていたらしいな。

……さて、そろそろかな。


『それでは……構え!』

「「……」」


緊張の一瞬。

空気が異常に重くなるのが分かる。


『……はじめ!』


実況席から、開始の合図が出されたその時だった。















ドンッ!















謎の爆発音が、響き渡った。
















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