女子団体戦開幕
Side晴信
まさか本当に優勝するとは思ってなかったなぁ……。
その結果が本人の気絶とあっては、優勝した気にもなれないだろうけどな。
本人は爽やかな笑顔を浮かべながら気絶していったみたいだけど……俺的にはあのまま立っていたままの方がカッコよかった気もするなぁ。
「しゅ、瞬一君は大丈夫なの!?」
「落ち着けって、神山さん!」
……瞬一が倒れたおかげに、こちらの女子軍の内の何人かは瞬一の安否を気にしてるしな。
特に織が一番気にしている様子だ。
意外にも、葵や春香はそこまででもないみたいだけど。
「あれ?瞬一が倒れて取り乱すかと思ったけど、お前達は意外にも平気なんだな」
「……だって、約束したからね。私達より先に死なないって」
……まぁ、あの程度で死んだりはしないと思うけど。
てか、魔術服着てるんだから気絶はしても体にダメージはないんだから。
「それよりも、次の私達の試合ですよね……何だか緊張してきちゃいました」
「先輩の言うとおりです……瞬一さんのことも心配ですけど、きっと瞬一先輩なら平気ですよね?」
誰に尋ねるのでもなく、優奈がそう言う。
……そうだな、瞬一なら平気だな。
つか、瞬一よ……お前はここまで心配されてるんだな。
俺としては羨ましい限りだぞ、この野郎。
「そういうわけよ……神山さん。だから、貴女は次の試合に集中して、三矢谷君の目が覚めるのを待っていないとね」
「小山先輩……はい!」
どうやら小山先輩のおかげで織も何とかなったみたいだ。
……やっぱり小山先輩は凄いなぁ。
俺、ますます小山先輩に……。
「惚れるなよな?千里には指一本触れさせてやらないからな!」
「まだ俺は何も言ってないだろ!別に小山先輩のそのぷっくりと膨らんだお胸にダイブしたいとか考えてない……ちょっと待て、どうして啓介は握りこぶしを握って俺の所に近づいてくるんだ?それに刹那!何でお前まで臨戦モードに突入してるんだよ!本番はまだだぞ!」
ま、まずい……何故か知らないけど、啓介と刹那が怒っている。
どこで発言を間違えたんだ……?
俺は本音を言っただけだというのに。
「その本音自体が間違ってると思いますけど……」
「冷静な分析ありがとう、優奈!」
そうか……本音自体が間違っていたのか。
それじゃあもう少し包み隠すように言えばいいってことだよな?
「さっきのは取り消しだ……俺は実は小山先輩のことがな……ってだからまだ何も言ってない段階で魔術使って剣を創るんじゃない!それで斬りかかったら、間違いなく死ぬからな!魔術服を着てないんだぞ!!」
何も言ってないのに、死亡フラグがビンビンに立ちまくってる。
……俺、こんな所で死んじゃうのかな。
『それではこれより、女子団体戦を始めたいと思います!まずは第一スペースの第一試合です……雷山塚高等学校対上村学園』
……良かった。
先にコールが入って本当に良かった。
「……命拾いしたわね、晴信先輩。次はないから……覚悟しておきなさいよ?」
「は、はい!!」
や、ヤバい……あの目は間違いなく人を殺せる目だ。
いつもよりも殺気がかなり強い……本当に危なかったなぁ。
「それじゃあ行ってくるね、みんな!」
「勝ってこいよな!」
葵の言葉に、小野田が言葉を返す。
……あ、立ちなおしたんだ、小野田の奴。




