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Magicians Circle  作者: ransu521
魔術格闘大会編
238/309

晴信との決着

「炎の海で地面を埋め尽くす!……ファイアオーシャン!!」

「空より裁きの雷よ、降れ!」


晴信は、足元に赤い魔法陣を。

俺は足元に黄色い魔法陣を展開させている。

それぞれ属性は、炎に雷だ。


「サンダーボルト!」

「飲み込まれるなよ!!」


それらは、ほぼ同時だった。

俺の雷が天より降ってくるのと、晴信の炎が辺り一面に広がるタイミングは。

ただ、どちらの攻撃も当たることはなかった。


「……よっしゃ!ファイアボール!」

「またかよ!……あらゆる害から身を守る不可視の壁よ。その一部を我が両手に宿せ!」


両手拳に簡単な結界を張り、


「はぁっ!」


飛んでくる炎の塊を、目前の所ですべて打ち消す。

……手ごたえは確かだ。


「くそっ!……さらに数を増せ!」

「炎を覆いし水よ。我に降り注ぐ炎を鎮火せよ!」


今度は俺の地面に青い魔法陣が展開される。

瞬間、その魔法陣から、まるで俺を守るように水の壁が俺の体を覆った。

そして、飛んできたファイアボールを、鎮火したのだ。


「雷と水……お前、そんな属性まで」

「一応どの属性でも攻撃できるようになってんだよ……得意なのは雷だから、基本雷しか使わないけどな。お前が炎属性ばっかり使うのとおんなじだ」

「……さすがは瞬一だな。もうお前の力が測りきれなくなってきたぜ!」

「同感だ!お前こそ力が強すぎて、どのくらい強くなってるのか分からなくなってきたくらいだ!!」


互いにそう言い合った後に、俺は刀を、晴信は銃を創り出す。

……こちらの武器の方が少し不利だが、まぁそんなハンデは何とかなるだろう。


「喰らえ!」


ドンドンドン!

晴信の握る銃から、炎の弾が何発か撃ち出される。

……俺はそれらの弾を、刀で斬り捨てる。

だが、さっきの攻撃でも検証されている通り、この銃の弾で刀を折ることは可能なのだ。

だから……。


「うぐっ!」


ガッ!

同じところで何回も弾を受けていた為、ついに刀が折れてしまった。


「チャンスだ!」

「させるか!」


俺は避けることに専念するのではなく、敢えて前に突っ込んでいく。

その間にも、晴信は銃を撃ってくるが。


「そうらどうした?俺はお前に接近してるのに、どうしてその銃が当たらない!?」

「くっ……この野郎!」


俺はそれらの弾を、ギリギリの所でかわし続けていた。

ただ、晴信の所に突っ込んでいるということは、逆を言えばそれだけ自殺行為だということにも繋がる。

近づくにつれて、俺が避けられる範囲も極端に小さくなってしまう為だ。


「このくらいの距離があれば十分だ!」


だが、それでも俺は前に走る。

そして同時に、呪文の詠唱も済ませてしまう。


「相手の体力を減らしつつどこまでもついていけ!……スリープボルト!」


俺は再び雷の塊を作り、晴信に向けて撃ち出した。


「こんな攻撃……避けられないはずがないだろう!」


晴信は、一旦俺に向けて銃を撃つのをやめ、その攻撃を左に飛ぶことでかわす。

……甘いな、晴信。


「それで避け切ったつもりか?」

「は?……何!?」


今までまっすぐ飛んでいたそれは、急に方向を晴信の方へと変えていった。

……そう、これは追尾型なのだ。

何かに当たるまで、それは晴信を追い続ける。


「くそっ!岩までは結構な距離がある……仕方ない!」


晴信はどうやら、岩まで逃げて、スリープボルトを岩に当てる気だ。

……だが、それこそが俺の狙い。


「……晴信、悪いがこの勝負、もらったぜ」

「な……に?」

「……」


俺は精神を集中させ、逃げまどう晴信を見つつ、俺は呪文の詠唱を始めた。


「神の公正なる裁判にて、彼の者に正しき判決を下す」

「なっ……その術は!?」


晴信の驚きの表情が見れた。

……そう、この技はクラス分け試験の時に晴信に出した技。

あの時よりも、威力は増大だ。


「下された判決は有罪。よってここに、神の雷にて裁きを下す」


俺が言い終わるのとほぼ同時。

地上にも、空中にも、何個もの魔法陣が展開していた。

地面には、晴信の足元に大きな魔法陣が描かれており、その周りに小さな魔法陣がいくつか。

空中にも、同じような魔法陣が展開されていた。


「させるか!!」


何とか岩にスリープボルトを当ててきたらしい晴信は、急いでこっちに走ってくる。

……遅い!!


「ジャッジメントスパーク!!」


晴信が銃を撃ってくるよりも先に、俺はその術の名前を宣言した。

上空より、いくつもの雷が降り注ぐ。

ひときわ大きい雷が、晴信の頭上より降り注ぎ、


「がはっ!」


喰らった晴信は……そのまま気絶した。

……ということは。


「……勝者、雷山塚高等学校、三矢谷瞬一!」

「……よしっ!晴信に勝ったぜ!」


晴信に、勝つことが出来た!!














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