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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
228/309

ランカスト家の憂鬱 ~前編~

『それではいよいよ本日最後のステージ発表となります。2-Sという、話題性抜群のクラスです』


話題性抜群のクラスって何だよ……。

まぁ、色々なことが起こってるのは間違いないことではあるんだけどよ。


『それでは、2-Sのみなさんで、劇『ランカスト家の憂鬱』どうぞ!』


お馴染みのアイツ、宮橋の声が会場内に響く。

それと同時に、舞台の幕が上がった。


「いよいよだね……瞬一」

「ああ……そうだな」


そうして、俺達の劇が、静かに幕を開けた。












~ランカスト家の憂鬱~


語り部:細川葵

主演:三矢谷瞬一……エーネル・ネルディング

   神山織……エルマー・ランカスト

   大和翔……アーサー・ネルディング

   森谷大地……オドワルド・スネイプ

   北条真理亜……アマルダ

   一之瀬春香……エミー












それはまだネルディング家とランカスト家が対立している時の話でした。

ランカスト家の王女であるエルマー・ランカストは、とある一人の王子に恋をしていました。


「ああ……エーネル。私は貴方に会いたいわ」


しかし、二人は対立する国同士という間柄。

つまりは、彼女は敵国の王子に恋をしたということになるのです。

同じ頃、一人の女性のことを思う男性がいました。


「……エルマー・ランカスト。私はあの人に恋をしてしまったようだ」


エーネル・ネルディングは、隣国の王女エルマーに恋をしていました。

つまりは、二人は両想いだったのです。

ところが、敵対する国同士という厚い壁が、二人の恋を邪魔していたということです。

そこに、エルマーに見合いの話しが来ました。

相手は、遠くの国からやってきた王子、オドワルド・スネイプです。


「おお、何と美しい王女であろうか。この者を、私はきっと妃として迎え入れようぞ」


オドワルドは、エルマーに大変ご執着でした。

しかし、エルマーはオドワルドと結婚をする気ははじめからありませんでした。


「申し訳ございません……私には、すでに想い人がいらっしゃいますので」

「それはどういう名前の者なのだ?」

「名を……エーネルと申します」

「それでは、その者の首を持ってくれば、我が妃として私の元へ来てくれるか?」

「……分かりました。誓いましょう」


エルマーはオドワルドとそのような約束を結んでしまったのです。

だが、エルマーはエーネルのことを信じていたから、そのような発言をすることが出来たのです。


「……待っていろ、エーネル。私がこの手で、必ずや首を取ろうぞ!」


馬に乗り走り去っていくオドワルドの姿を、使用人であるアマルダは、偶然耳にしてしまいました。


「た、大変……早く王子に知らせないと―――!!」

「どうしたのだ?アマルダ」


隣にいたネルディング家の王、アーサー・ネルディングは、動揺するアマルダにそう尋ねました。

アマルダが答えます。


「王子の命が……王子の命が狙われているのです!」

「何!?……エーネルの命を取ろうとする者が現れるとは。ランカスト家の者か?」

「そこまでははっきり分かりませんでしたけど……恐らくはその通りだと思われます」

「うむ……軍を派遣せよ。ランカスト家を討ちに行こうぞ!」


この時、二人はとんでもない勘違いをしていました。

そして、その勘違いこそ。

エーネルとエルマーの二人の恋を、さらに複雑なものとさせて行ってしまったのです。













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