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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
226/309

弟がやってきた

「ありがとう!瞬一君!!」

「わ、分かったから!手を揺らすんじゃない!」


模擬戦闘も終わり、一旦は教室に戻ってきて。

スタッフルームで、織は俺の両手を握りながら、嬉しそうにブンブンと上下させていた。

や、やめてくれ……地味に痛い。


「そこまでにしてあげなよ、織ちゃん。いくら嬉しいからって、そこまでするのはよくないよ?」

「……どうしてそんなにも怖い笑顔を浮かべながら、お前はそんなこと言えるんだ?」


葵は、何やら怖い表情を浮かべながら、俺と織のことを見ていた。

織が離れたら……俺を捕える気満々だ。


「ほらほら、二人共。瞬一が困っているじゃないか」


そこに助け舟として大和が登場。

や、大和……来てくれてありがとう。


「……そうだね」


織は渋々ながら俺の手を離す。

葵は、さっきまでの鬼の形相から完全に戻っていた。

……何だか、文化祭はなかなかに人を壊していくよな。


「それで、午後は劇の方だよな」

「うん。それで、私達は何番目にやることになったの?」

「確か……最後だったと思うよ」


さ、最後かよ……つまりはおおとりってことか。

そう考えると、緊張してくるな……。


「私が書いた脚本は受けるかな……」

「大丈夫だろ。お前の書いた脚本、なかなかに面白そうだったぞ?」

「本当?」


心配そうに呟く葵に対して、俺はそう告げる。

……実際面白そうな脚本だったので、これは嘘偽りない言葉ということになる。


「瞬一に褒められたのなら、私はもう満足だよ……」

「おいおい。まだ劇をやったわけじゃないんだから、みんなに見せてから満足感を味わうことだな」

「……うん、そうだね」

「……」


葵が笑顔になるのと対称に、今度は織が怒ったような表情を見せる。

……一体俺は、どうしたらいいのだろうか?

と、悩んでいるその時だった。


「瞬一!お前にお客さんだ!」

「俺に?誰だかわかるか?」

「「((ギン!!))」」


……大地がスタッフルームに顔を出し、俺にそう言ったのと同時。

葵と織からの目線が、かなり痛い。

……いや、どうしてそんな目をする?


「本人曰く、お前の弟らしいけど……」

「幸太か……本当にこっち来てたんだな」

「幸太?もしかして、瞬一君って弟がいたの?」


意外そうな表情を見せ、織が俺に尋ねてくる。

大和と葵も、同じような表情を見せていた。


「ああ。実家にお前らを連れていく機会がなかったから別に伝えてなかったけど、俺は弟がいるんだよ」


言いながら俺は、スタッフルームから出る。

そして、席に座ってケーキを食べている幸太に近づき……って。


「いつの間にお前はケーキを注文してたのかよ」

「あ、兄ちゃん!遊びに来たぜ!」


ケーキをほおばりながら、笑顔で俺にそう言ってくる幸太。

……お前は何をしてるんだ、本当に。


「というか、お前一人か?」

「ううん、母さんも一緒に来てたんだけど……今はトイレにいると思う」


と思うって……実の母の行動パターンくらい確認しとけって話だよな。


「その子……もしかして、貴方の弟なの?」

「ん?琉川か……ああ。そうだけど」

「貴方とは随分と違って、明るい性格してるのね」

「それって俺が暗い性格してるってことか?」

「そんなんじゃないわ。ただ、純粋でいい子ねって思って」

「お前、さっきから俺の悪口しか言ってないだろ」


琉川め……失礼なことばかり言いやがって。


「そ、そうだ兄ちゃん……ここに来るまでに、細川空ちゃんって子に会ったんだけど……」

「空に会ったのか?……ってか、お前、顔赤いぞ」


はは~ん。

さてはコイツ……空に一目惚れしたって奴か。


「あ、赤くなってなんかないよ!別に、空ちゃんのことが気になるとか、そういうことじゃないぞ!」

「全部自分で言ってるぞ、幸太」


コイツは隠し事が下手だなと、俺は改めて認識したのだった。













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