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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
225/309

割と早い……

「せいっ!」

「はぁっ!」


ガキン!

互いの得物は同じ。

刀と刀がぶつかり合う。

……力は強いな。


「……この野郎!」

「力任せに振ったところで当たるものでもありませんよ?」


別に力任せに振っているわけでもないのだけど。

まぁ、ちょっと力は込めてるけどな、いつもよりは。


「……ふん!」


ガン!

刀と刀が奏でる音は、不規則のようで規則的なものであった。

その場所に行けば、俺はその場所に刀を置く。

相手の攻撃を読み、そこに刀を振る―――!!


「ま、まさか……貴方」

「まぁ、多分お前よりは戦闘経験あるんじゃねぇの?」

「……偽りの風よ。我に力を貸せ!!」


風魔術の詠唱か……。

魔術を使ってきた所を見た所、そろそろ魔術使ってもいいってことだよな?


「聖なる雷よ。我の右手にその力の一部を宿せ!」


右手を前に突き出す。

地面には、黄色の魔法陣が描かれて、そこから俺の右手に力が宿る。

そして、宿された力を、俺は……。


「喰らえ!ライトニング!!」


春山に向けて一気に放出した。

だが。


「喰らいませんよ!」

「……おお」


一瞬にして、春山はそこから姿を消す。

なる程……さっきの魔術は、体強化の魔術だったというわけか。


「風を喰らえ!!」


今度は春山のターン。

右手に風の塊を作り、勢いよく俺に投げてきた。

俺はそれを右に避け、難無くやりすごす。

だが、強い風が地面に衝突した所で、その風は吹き荒れる。

ダメージこそ喰らわなかったが、それは辺りに砂嵐を起こさせるには充分だった。


「ちっ……前が見えない」

「終わりです!」

「!!」


ちぃっ!

こんな中でも春山は攻撃できるって言うのか!!


「はぁっ!」


この場合、敵がどの方向から攻めてくるのがよいかを考えよう。

相手の視界を封じ、不意をつく攻撃をするのだとしたら……。


「後ろだ!!」


振り向きざまに、俺は刀を振る。

すると、ガキン!という衝突音が鳴り響いた。

本来ならば、ただ刀を振っただけだと聞こえることのない音。

つまり、敵はやはり後ろから来ていたということだ。


「な、何故この攻撃を……」

「予測したんだよ。こういう場合の敵の動きをな」

「な、何ですって!」

「驚いてる暇あったら、避けるくらいの動きは見せろってんだよ!」


ドゴッ!

鳩尾に思い切り力を込めた拳をぶつける。

春山は、一気に力を失う。

そこを、俺が見逃すはずがなかった。


「……せいっ!」

「!?」


喉元に突きつけられる、俺の刀の刃。

これを振り切ってしまえば、春山の命はない。

だが、これはあくまで模擬戦闘だ。

命を奪うという行為にまでは至らない。

つまりは……。


「……僕の、負けです」

『決まったぁああああああああああああ!勝者は、我が校の魔術格闘部所属、三矢谷瞬一選手だ!!』

「「「「「ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」」」」


……なんだか照れるな、こんだけ人が多いと。

それに、割と早く決着がついた気もしなくもないな。


「……僕の完全なる敗北です。悔しいですが、貴方は相手として悪すぎました」

「そうか……なら、これから強くなればいいだろう」

「……それもそうですね」


そして俺と春山は、しっかりと手を握った。

まぁ、スポーツマンシップという奴だろう。












こうして、魔術格闘部の、文化祭の出し物は終わった。













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