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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
224/309

戦闘開始

『さぁやって参りました!魔術格闘部による模擬戦闘のお時間です!!実況は、私宮橋修也が務めたいと思います!どうかみなさん、短いお時間ですが、よろしくお願いします!』


……いつの間にかお前がいたのかよ。

まぁ、そんな突っ込みは置いといて。


「春山光秀とか言ったな……織のどこに惚れたんだ?正直、俺には分からないんだが……」


闘技場中央。

俺と春山の二人は、向かい合わせに立っている。

観客席は、結構人が埋まっている様子だった。

……そこそこ集客効果はあったかね。

まぁ、ワーワー言ってるのもあって、俺達の会話は聞こえていないだろう。

だから俺は、春山に尋ねたのだ。

すると、


「明るい所とか、可愛い所とか……色々です」

「……まぁ、織の長所だよな、そういう所は」


確かに、織は明るいし、いつも笑顔だし、俺から言うのもあれだけど、その、可愛い……し。

けれど、一目惚れしてしまう程のものかと問われてしまうと、少し疑問符がつかざる負えない。


「貴方は、織さんとはどういうお関係なのですか?」

「俺か?」


今度は春山に質問を返される。

……この質問に、特に深い意味はないのだろう。

正直に答えるべきなんだろうなぁ。


「俺と織は、小学校以来の幼馴染だ。ただし、高学年の時に織が海外に行ってしまってから、少し時間が空いちまったけどな」

「そうですか……なんて、羨ましい関係なのでしょう」

「は?」


何を言っているのだろうか?

幼馴染という関係の、どこか羨ましいというのだ?

別に、親友であるということだけじゃないか。


「僕からしてみれば、かなり羨ましい状況です……いつも隣にいて、その笑顔を独占出来て、なんて……なんて羨ましい!」

「あ、いや、そこまで怒る所でもないだろ……?」


な、何か嫌な予感がする。

春山の背後から、『ゴゴゴゴゴ』なんて、某スタンド使い並の効果音が流れている。

というか、黒字で見えている。


『何だか面白い展開になって参りました!何だか春山選手が三矢谷選手に向けてかなりの殺気を放っている様子なのですが……今回は、解説に雷山塚高等学校魔術格闘部所属の、一年A組の植野刹那さんにお越しいただいております。よろしくお願いします』

『よろしく』


何で刹那が解説やってんだよ。

暇ならクラスの手伝いしてやれよ……。


『それで、これはどういうことなのでしょうか?』

『簡単に言うと、一人の女性を賭けた男の戦い、ということね』

『ほほう、一人の女性ですか?それは一体どなた何でしょうか?』

『それはさすがに言えないわ。プライバシーに関わる問題だから』

『なるほどなるほど……つまり、三矢谷選手のフラグメイカーぶりが、今回もこの二人の戦いをもたらしたということですね?』


……アイツ、いらんことを言ってくれたな。

何か、一部男子からの視線が突き刺さるんだけど……。

戦う前からこんな調子で、大丈夫なのか、俺。


『……そうね。そういうことになるわ』

「おい!そこは肯定するなよ!!」


思わず実況席に向かってそう突っ込みを入れていた。

……当然届いてるはずもないのだが。


「さて、そろそろ構えてください。戦闘開始の合図があると思いますから」

「……ったく、お前も物好きだよなぁ、本当に」


それにしても、織とはどこで会ったのだろうか?

アイツは海外に行っていたわけだし、春山と織に、接点なんてなさそうだけどな……。


「それでは……構え!」

「「……!」」


葵の言葉を聞いて、俺と春山は同時に構えをとる。

しばらくそのままの時間が流れる。

そして……。


「はじめ!」

「「!!」」


開始の合図と共に、俺と春山は同時に動いた。













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