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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
223/309

文化祭二日目にして宣戦布告

文化祭二日目。

俺はクラスのところへは行かず、とりあえず闘技場に来ていた。

理由は、今日の朝十時から行われる、外部からの学校の生徒を呼んでの模擬戦闘。

審判は部長である葵が、戦うのが……。


「頑張れよ、瞬一」

「結局こういう役目は俺が担うのな……」


やはり俺がやるみたいだ。

どうして戦うようなことは俺に回ってくるんだろうな……たまには晴信とかやってくれよ。


「だってよ、一番戦闘慣れしてるの瞬一じゃんか」

「そりゃあ否定しないけどさ……」


啓介の言う通り、一番戦闘に慣れているのは間違いなく俺だろう。

葵も力こそ俺より強いが、まだ戦闘の回数は少ない。

それに、力が強くて、相手側からもう来ませんと遠慮されても困るしな。

晴信も俺の次くらいに戦闘経験があるが……なんでも別の仕事が入っていて無理なようだ。

慣れの為とはいえ、刹那と優菜にそんな真似をさせるわけにはいかないし。

春香は……うちのクラスの仕事を頼んでいるのでパス。

俺も劇の最終チェックをしたかったのだが、どうやらそれは叶わなかったみたいだ。


「んで、今回来るのはどういう奴なんだ?」

「確か、御崎高校の春山光秀って人だよ」

「誰だよそれ……まったく分からないんだけど」

「まぁいいじゃないか。相手が未知数の方が、わくわくするだろ?」


そりゃあ見るほうとしてはいいだろうけどよ……。

実際に戦う俺からしてみれば、かなりの苦労を強いられるわけで。


「とりあえず、そいつはそろそろ来るんだろ?」

「うん。予定だともうすぐってことになってるんだけど……」

「すみません、遅れてしまいました」


む?

聞き覚えのない、綺麗な声だな……。

まさか、この声の持ち主こそ、俺の本日の対戦相手か?


「貴方が、春山光秀さんですか?」

「ええ。そうです」


敬語を使う奴か……。

なかなかに堅苦しい奴だな。


「本日はどうかよろしくお願いします」


そう言うと、春山は一礼する。

俺達も思わず礼を返してしまう。


「……それにしても、どうして今日の勝負を受け入れてくれたんだ?」


少なくとも、この勝負を受け入れたところで何の得もないだろう。

何せ、招待試合といっても、名前はうちの学校の文化祭の模擬戦闘なのだ。

こんな試合の為にわざわざ来てくれるなんて、こっちとしてはありがたいんだけどよ……。


「それはですね……」

「……ん?」


どうして春山の奴は織の方へゆっくりと歩み寄って行くのだろうか?

そして、その右手をつかみ、


「貴女に……一目惚れしてしまったからですよ、神山織さん?」

「……へ?」

「「「「「ハァ!?」」」」」


い、意味が分からない。

展開が読めないんだけど……何これ?

何の冗談ですか?

カメラ回ってるんじゃないのか、これ!?

どこだ、どこにあるんだ!?


「……瞬一、珍しく取り乱しすぎ」

「ああ、俺としたことが……さすがに俺もショックだったから、つい」


俺としたことが……さすがに織に惚れる奴がいるとは思っていなかったからなぁ。

けど、ついに織にも春が……よかったなぁ、織。

本人はあからさまに嫌がってるけど。


「い、嫌だよ!ボクにはすでに、思い人がいるんだから!」

「おや、そうなのですか?……それなら、こうしてみてはいかがでしょうか?」


春山が何かを思いついたかのように言う。

……何を思いついたんだ?


「僕がこの模擬戦闘に勝ったら、織さん、僕と付き合ってくれませんか?」


えらい爆弾を投下してくれたものだ。


「……いいよ、その条件なら呑んであげる。けどその代わり、君が負けたら、私とは二度と会わないでね!」

「……分かりました。条件を呑みましょう」


……おいおい、これでいいのかよ。


「そういうわけで……瞬一、絶対勝ってよね!」

「……」


何故かは知らないけど、ますます負けられなくなってしまった。
















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