待ち合わせ場所
校門前まで来てみたけど、アイミーはどこにいるんだ……?
……お、あれは……。
「おはようございます!シュンイチ!」
「あ、ああ……おはよう」
相変わらずの金色で長い髪が、若干の風によって揺れる。
その服装は……いつか見たことあるような、白を基本としたスカート型ワンピース。
純白を思わせるようなその服を着ているアイミーは、まるで綺麗な人形みたいだった。
「っと、俺の語彙能力では判別不能なくらいの綺麗さってことだな」
……そのくらい、アイミーは綺麗だった。
何と言うか、学生服である俺が引け目を感じてしまうくらいに。
「何かいいましたか?」
不思議そうに首をかしげる。
……やばい、そのしぐさは、来る!
「あ、ああ……綺麗だな、っと思って」
「き、綺麗、ですか?……ありがとうございます///」
アイミーは、俺の言葉を聞いて顔を赤くする。
……言った本人である俺も、顔を赤くしていた。
俺達の横をすぎ去っていく一般の方々が、
『おやまぁ、初々しいこと』
『あれ?あの女の人って、グレイブスタン公国の王女様じゃないかしら?』
『あの子……かなり狙い所がいいじゃない?』
『なかなか見どころあるじゃない。フリーだったら、お付き合いさせてもらおうかしら』
……以上、女子高生とその保護者の会話より。
もちろん、母親・女子高生という順番の会話だ。
「ま、まぁ、いつまでもここにいるのもどうかと思うし、そろそろ中に入ろうぜ」
「そうですね……では、ゆっくり中を回ってみたいです」
「ああ。今日はたくさん遊んで行けよ。ただでさえ騒がしい内の学校が、さらに騒がしくなってるわけだからよ」
うん、俺の言ってることは間違いじゃない。
だって、本当にそうなんだから。
ただでさえ騒がしい奴らと、俺はいつも会話をしたり、部活をしたりしている。
それが、文化祭ときたら……浮かれずにはいられないだろう。
そんな感じで俺達は校門から離れ、校舎の方を振り向く。
……下駄箱に続く道にも、出店が開かれているのが見える。
ああ、そう言えば部活での出店は、全部ここに開かれることとなってるんだったな。
魔術格闘部は、模擬戦闘を開くことになっているので、出店は出していないが。
……そう言えば、あれって何時からだっけか?
「……アイミー、実は俺、午前中しか一緒にいることが出来ないんだけど、それでもいいか?」
「そうなんですか?……構いませんよ。その代わり、シュンイチのお店を、後で拝見させてくださいね」
「そ、それって俺が仕事に入ってるときに来るってことか?」
「はい!」
ま、満面の笑みで言われてしまった。
……覚悟は決めよう、もとよりそのつもりだったのだから。
知り合いが働いている所を見たいのは、当り前のことだと、俺は思うから。
そんなわけで。
「まずは俺の部活の後輩がいる店に行くけど、いいか?」
「はい。シュンイチの後輩という人にも、興味がありますし」
アイミーの同意を得た所で、まずは一年生の教室へと向かう。
確か……優奈もクラス分け試験で上のクラスに上がることが出来たから、A組に行けばいいんだよな?
優奈と刹那は、二人ともA組のはずだから。




