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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
214/309

俺の命が……!!

いやぁ、たいそう驚かされた。

まさかアイミーがこっちに来ているなんて考えもしなかっただけな、その驚きも半端なかった。

隣では、嬉しそうに笑いながら歩くアイミーがいる。

……そして周りからは、男女問わず殺気が突き刺さってきた。


『だ、誰だよ……あの綺麗な人』

『知らないのか?この前日本に来た、グレイブスタン公国の王女様だよ』

『なんで三矢谷君と一緒に歩いているのかしら?』

『さぁ……けど、羨ましいわ』

『つ~か、瞬一ぶっ殺す!』


な、何だよ!

最後の言葉、明らかに俺の知り合いからの言葉だよな!?

……まさか。


「瞬一!これはどういうことだ!」

「ゲッ。晴信か……」


やはりな。

そこにいたのは、何やら凄い形相を浮かべている晴信だった。

なんであんな顔してんだよ、アイツは……。


「葵や一之瀬だけじゃ飽きたらず、ついには一国の王女様にまで手を出しやがって!!」

「なんのことだか全然分からないっての!!」


このままじゃ本当に殺されかねない。

自分の命を守る為にも、この場はなんとしても逃げる―――!!


「というわけでアイミー、ちっとばっかし我慢しろ!」

「へ?……キャッ!」


所謂、お姫様抱っこというやつだ。

……しかし、アイミーは軽いな。

本当に食事をきちんと取ってるのか?


「お、お前……」

「邪魔だ!!」


ゲシッ!

さすがに校内で魔術を使うわけにはいかないので、俺は晴信の―――いや、男の弱点に蹴りを入れる。

……気持ち悪いな、おい。


「ちっとばっかし揺れるけど、しっかり捕まってろよ!」

「は、はい!!」


およそ数メートルの逃走。

自分のクラスまで逃げ切れたら、俺の勝ち。

それまでに捕まっしまったら、俺の負けだ。

ルールは単純ながらも、こちらは明らかに不利だ。

けど、逃げるしかない。

ここから逃げないと、待っているのは俺の死。


「……シュンイチ///」


何やら顔を赤くしている様子のアイミーだが、この際気にしていられない。

アイミーには申し訳ないが、このまま逃げる!!


「そ、総員、三矢谷瞬一を、追え……」

「「「「「サーイエッサー!!!!!」」」」」


こ、こんな時だけ団結力を発動させてんじゃねえよ!

せめて体育祭の時にでも出しとけっての!!


「三矢谷瞬一……覚悟!」

「危ねぇだろうが!コッチには一国の王女様がいるんだからよ!」

アイツ、俺に向かってファイアーボールを飛ばしてきやがった!

アイミーに当たったりなんてしたらどう責任とるつもりだ!!


「……大丈夫です。当たらないようにしっかりと抱きついてますから」


ギュッ。

ちょっ……未体験の感覚が、俺に襲いかかってくるんだけど……。

柔らかいものが二つ、俺の胸に……。


「……コロス」

「ちょっと待て。何でカタカナ表記になってやがるんだ。マジで殺すき満々じゃねぇか!」


冗談じゃない!

こんな所で人生終わらせてたまるか!!


「ふんぬ!」


全力で俺は走る。

後少しで教室だ……!!


「よっしゃ!」


ガラッ!

俺は扉を開き、何とか教室に逃げ込むことが出来た。

よし、コレで俺は生き延びることが出来た!!


「……瞬一、これはどういうことかな?」

「瞬一君、覚悟はいい?」


……教室の中に入ってみると、鬼の様な形相をしている葵と織の二人がいた。

他のクラスメイト達も、一瞬で臨戦態勢を取っていた。

……どうやら、俺の命は、救われることはないらしい。
















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