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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
213/309

呼び出しって、こんな……

「よく来てくれたな」

「そう何度も俺のことを呼び出さないでくださいよ……何だか俺、S組の中の問題児扱いされてるじゃないですか」

「まぁ、問題児ではないのだから、それでいいだろう?」


……そういう問題じゃねぇよ。

まったく、分かっていて言ってるのか、この校長は。


「それで、俺を呼び出した理由っていうのは何なんだ?」

「何、難しい話でもない……話は二つある」


二つか……その口ぶりから言うと、片方、いや、両方が重い話の可能性大だな。

……にしても、何で俺に重いようなことを言うかね。


「うむ。何故かは知らぬが、君はどうやら、事を運ぶのが上手らしいからな」

「……それって、俺がある意味の疫病神って言ってます?」

「まぁ、そうとも言うな」


そこは否定してくれよ。

俺、某小学生探偵が活躍する漫画の中の主人公的役回りしてるようで、嫌じゃん。

行く先々で事件が起きる……業界用語を使うのなら、クローズドサークルという奴か。

……閉鎖的空間でもなんでもないのだが。


「一つ目は……前にこの学校で起きた通り魔事件、いや、由雪迅が引き起こした事件についてだ」


……やはり重い話題から出してきたか。

それにしても、よりによってその話題とは。


「この件については……お主達はもう、無駄な詮索をしないで欲しい」

「……え?」


意外な言葉だ。

まさか、そうくるとは思ってなかっただけに、俺は少しの間言葉を失った。


「どうしてですか?というか、別に詮索する気もいまさらないですけど……」


あいつの目的は、もう分かっている。

それに、その本人が行方不明なのでは、もはや何もしようがない。


「……ならいいのだ。なんでもない、忘れてくれ」

「……はぁ」


校長は、そこで言葉を切る。

……少しの沈黙の時間が訪れる。


「それで、もうひとつの方は?」


あまり時間をかけるわけにもいかないので、俺は二つ目の話を聞くことにした。

すると今度は、心持ち楽しそうな表情を作っていた。

……今度は軽い話題か。


「実はな、先日この学校で文化祭が開かれることを、グレイブスタン公国の国王に連絡しておいた」

「……それで、それがどうしたんですか?」

「彼が言うには、文化祭が開かれる前後の日にちに、王女が来日するそうだ」

「へぇ~王女様が来日するんですか……って、はぁ!?」


グレイブスタン公国の王女って言うと、アイミーのことだよな!?

何だよそれ、急すぎだろ、おい!!


「……驚いているようだな。しかし、無理もないだろう」

「……はい、俺は今、凄く驚いています」


それはもう、腰が抜けるのではないかと思うくらいに。

否、もう抜けてた。


「そうか……なら、これからもっと驚くことが起きるな」

「……まさか」

「その、まさかだ」


校長は椅子から立ち上がり、部屋の後ろの方へ歩く。

来客室の扉を開き、手招きをするような動作をする。

そして、そこから出てきたのは……。


「久しぶりです、シュンイチ!」

「あ、アイミー……マジで?」


明るい笑顔を振りまいている、アイミーの姿がそこにはあった。


「い、いつの間に来てたのか……アイミー」

「はい!早くシュンイチに会いたくて!!」

「そ、それは嬉しいな……」


何だかこっちまで気恥ずかしくなってくる。

自分の顔が赤くなってきているのを感じた。


「……どうしたんですか、校長先生?」

「いや、何でもない」


意味深に笑う校長の顔は、何でか知らないけど、無性に腹が立った。


「それでは、用件は以上だ。王女と一緒に教室へ戻るがよい」

「え、そ、それは……さすがにやってはいけない気が……」

「平気だ。王女はしばらくの間、この国に滞在しているのだぞ?この学校も、王女の見学場所として例外ではない」


……つまり、俺に案内役を務めろということですね?


「そうともいう」


……そうか、面倒な役を押し付けられただけともいえるのか。

まぁ、アイミーの案内役だから、面倒でも何でもないんだけどな。


「んじゃ……とりあえず、俺達のクラスに行くか?」

「はい!」


アイミーの返答も得られたことだし、とりあえず俺達は一旦S組に向かうこととなった。

にしても、国王様も結構あれだよな……。

放任主義といえるのか、これは……。













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